国士

国士（こくし）とは

国士という言葉には、大きく分けて二つの意味があります。

1. その時代において、国の中で特に優れており、社会に貢献する人物。
2. 国を憂い、自分の身を顧みずに国家のために尽力する人物。

二つの意味合い

1. 時代を代表する傑出した人物

この意味での国士は、現代では政治家、実業家、評論家など、各分野で顕著な業績を上げている人物を指すことがあります。書籍の題名などにも用いられることがあり、その分野における第一人者、優れた才能を持つ人物を称賛する意味合いで使われます。

2. 憂国の士

一方、憂国の士としての国士は、歴史上の人物や、名前が広く知られることなく国家のために尽力した人物を指します。彼らは、自身の利益よりも国家の安寧を優先し、時に命を懸けて行動しました。後世において、その高潔な精神と行動が評価され、国士として称えられます。

国士の起源

国士という言葉の起源は、中国の歴史書『史記』に遡ります。漢の武将である韓信の功績を称え、「諸将ハ得ヤスキノミ、信ハ国士無双ナリ（他の将軍はいくらでも得られるが、韓信のような国家的人材は他にいない）」と評したことが始まりとされています。

日本における国士

日本では、国士という言葉が、時に俗語として、極端な右翼思想を持つ人物を指すことがあります。この用法は、本来の国士の意味合いとは異なりますので注意が必要です。


また、世に知られることなく、国家や社会のために貢献した人物は、その功績を惜しまれ、活字で紹介されることがあります。彼らの存在は、国士という言葉の深さを物語っています。

啓蒙雑誌「國士」

日本のオリンピック初参加に尽力した嘉納治五郎は、人材育成の重要性を認識していました。彼は、個人を放任するのではなく、指導することで才能を開花させ、その時代に応じた貢献ができると考えました。この考えを基に、学校教育だけでなく、精神修養と身体鍛錬を生涯教育として行うことを提唱し、明治22年（1889年）に啓蒙雑誌「國士」を創刊しました。この雑誌を通じて、多くの人々に教育の重要性を説きました。

まとめ

国士とは、単に優れた人物を指すだけでなく、国家や社会のために尽力する高潔な精神を持つ人物を意味します。この言葉は、歴史の中で様々な意味合いを持ちながら、現代においても使われ続けています。

関連情報

志士：幕末において、国家のために活動した在野の人物を指します。
国士無双：麻雀の役の一つで、韓信の故事に由来します。「国士」と略されることもあります。

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