国家情報会議

国家情報会議（NIC）とは

国家情報会議（NIC: National Intelligence Council）は、アメリカ合衆国大統領に対して、中・長期的な視点から世界情勢の予測を提供する重要な諮問機関です。インテリジェンス・コミュニティからの情報を基に、将来の国際情勢や安全保障に関わるリスク、機会について分析・評価を行い、政策決定を支援します。

NICの歴史

NICの前身は、1947年に創設された報告・評価室（ORE: Office of Reports and Estimates）です。その後、1950年にOREが改組され、国家評価室（ONE: Office of National Estimates）が設立されました。ONEは、より専門的かつ包括的な国家評価を行うことを目的としていました。そして1979年、ONEは現在の国家情報会議（NIC）へと改編され、その役割と機能が強化されました。

NICの活動内容

NICの主要な活動の一つに、4年に一度の大統領選挙の年に合わせて発表される「NIC Global Trends」という報告書があります。この報告書では、15〜20年間にわたる世界情勢の予測と分析が詳細に記述されています。人口動態、経済、環境、技術、政治など、多岐にわたる分野の専門家が参加し、将来の世界がどのように変化していくのか、その可能性を探ります。政策立案者や研究者にとって、長期的な戦略を立てる上で貴重な情報源となっています。

また、NICは「国家情報評価（NIE: National Intelligence Estimates）」と呼ばれる短期的な評価も作成しています。NIEは大統領をはじめとする政府高官に提供され、喫緊の課題に対する情報を提供します。NIEの作成には、諜報機関だけでなく、大学教授などの民間専門家も参加し、多角的な視点を取り入れた分析が行われます。

CIAとの関係

近年まで、NICは中央情報局（CIA）長官（DCI: Director of Central Intelligence）の統治下にあり、NIEの作成にもCIAが深く関与していました。しかし、情報機関の独立性と客観性を確保するため、NICはCIAから独立した組織として運営されるようになっています。これにより、より中立的な立場から情報分析と評価を行うことが可能となり、政策決定における信頼性が向上しました。

参考文献

米国国家情報会議 著、北村愛子、北村淳 訳『グローバル・トレンド 2025』並木書房（原著2010年4月22日）。ISBN 978-4890632558。
米国国家情報会議 著、谷町真珠 訳『2030年 世界はこう変わる アメリカ情報機関が分析した「17年後の未来」』講談社（原著2013年4月19日）。ISBN 978-4062183765。

外部リンク

NIC 公式ウェブサイト （英文）
NIC グローバル・トレンド
NIC Global Trends 2010 （英文）
NIC Global Trends 2015 （英文）
NIC Global Trends 2020 （英文）
NIC Global Trends 2025 （英文）
NIC Global Trends 2030 （英文）
NIC Global Trends 2035 （英文）
* NIC Global Trends 2040 （英文）

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