国旗団 (ドイツ社会民主党)

国旗団 黒赤金：ヴァイマル共和政の守護者と、その終焉

ヴァイマル共和政下、1924年に誕生した国旗団黒赤金は、社会民主党(SPD)、中央党(Zentrum)、民主党(DDP)といった政党が中心となって結成された準軍事組織でした。左右両派からの共和政転覆の脅威に晒されていた当時、国旗団は民主主義体制の守護者としての役割を担いました。特にSPDとの結びつきが強かったことから、しばしばSPDの準軍事組織と見なされることもありました。

誕生の背景：カップ一揆と共和政防衛の必要性

第一次世界大戦後、SPDが政権を担う中、保守・右翼勢力や極左勢力からの反発は激しく、1920年にはカップ一揆という大規模な反乱が発生しました。この際、軍部の協力が得られなかったSPDは、危機感を深めます。この経験から、ヴァイマル共和政を支持する民主主義者による準軍事組織の必要性が認識され、各地で共和政防衛組織が生まれていきました。それらの組織とSPDの警備部隊が統合されたものが、国旗団黒赤金の直接的な前身となります。1923年にはナチ党のミュンヘン一揆や共産党のハンブルク一揆など、共和政を否定する勢力の武装蜂起が相次ぎ、より強固な組織の必要性が改めて強調されました。

組織と活動：多様な勢力と巨大な規模

国旗団はSPDだけでなく、中央党左派や民主党など、複数の政党や労働組合、ユダヤ人団体などからも支持を得ていました。しかしながら、隊員の大多数はSPD系であり、実質的にはSPDの準軍事組織として機能していました。1925年には300万人、1926年には350万人に達する規模を誇り、ナチスの突撃隊や共産党の赤色戦線戦士同盟を大きく凌駕する、ドイツ最大の準軍事組織となりました。ただし、活動に積極的に参加する隊員は100万人程度だったと推測されています。

国旗団はナチスや共産主義者、君主制復古主義者といった勢力と対決し、ヴァイマル共和政と民主主義を守ることを目的としていました。団長には当初オットー・ヘーシンクが、後にカール・ヘルターマンが就任しました。

1930年の国会選挙でナチ党が躍進すると、国旗団はナチスへの対応を強化。突撃隊を模倣した組織再編を行い、精鋭部隊「防衛隊」を創設しました。防衛隊はナチス政権掌握時の武装蜂起に備え、徹底した軍事訓練を実施。警察からの協力も得て、武器の訓練や戦略立案も行っていました。しかし、SPDは国旗団の「兵隊ごっこ」を懸念し、武器の独自調達を禁止するなど、対立が生じる場面も見られました。

抵抗と終焉：ヒトラー政権と、その後

1933年1月、ヒトラーが首相に就任すると、国旗団は抵抗の準備を開始します。しかし、SPDの指導部はゼネストや武装蜂起に消極的な姿勢を示し、国旗団の抵抗計画は頓挫しました。3月5日の選挙後、国旗団の活動は禁止され、SPDも解散させられました。多くの国旗団員は逮捕され、強制収容所に送られました。一部の残党は地下組織として活動を続けますが、ナチス政権の弾圧を逃れることはできませんでした。

組織構造と財政

国旗団は、団総会、中央幹部会議、大管区、中管区、小管区、地区といった階層的な組織構造を持っていました。部隊編成は旅団、連隊、大隊、中隊、小隊、分隊と細分化され、地域ごとに部隊が配置されていました。財政は、団員からの団費や寄付金が主な収入源でした。

結論

国旗団黒赤金は、ヴァイマル共和政を守るために結成された準軍事組織として、その規模と影響力において大きな存在感を示しました。しかし、ナチスの台頭とSPDの消極的な対応の前に、抵抗運動は挫折し、終焉を迎えることになります。国旗団の歴史は、ヴァイマル共和政の脆弱性と、民主主義勢力の限界を浮き彫りにする、重要な歴史的教訓となっています。

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