赤色戦線戦士同盟

赤色戦線戦士同盟（Roter Frontkämpferbund）とは

赤色戦線戦士同盟（略称RFB）は、ヴァイマル共和政時代にドイツ共産党（KPD）が保有していた準軍事組織です。1924年7月18日に公式に設置され、右翼的な鉄兜団や社会民主党（SPD）の国旗団に対抗する存在として登場しました。

設立の背景と目的

設立前年の1923年、共産党は中部ドイツで社民党左派と統一戦線を組み、暴力革命を企てましたが失敗。この経験を踏まえ、党内の停滞ムードを払拭し、勢力拡大を図るためにRFBが結成されました。

組織と活動

初代隊長は、後にドイツ共産党の党首となるエルンスト・テールマン。隊員数は最盛期には12万人を超え、軍事訓練とマルクス・レーニン主義の思想教育を受けました。主な活動は、共産党員の活動の護衛、敵対政党の集会妨害、街頭での武力衝突などです。「ハイル・モスクワ！」と叫び、握りこぶしを掲げる敬礼を行いました。

突撃隊との類似点と相違点

RFBは、ナチ党の突撃隊（SA）と類似した役割を担いました。しかし、社民党の国旗団が政治部門と準軍事部門を分離していたのに対し、RFBは完全に共産党の一部であり、党の戦略目標にのみ動員されました。反資本主義的な若年層を人材源とした点も共通しており、両組織間には人材の行き来もありました。

スローガンと対立

国旗団が「共和国防衛」をスローガンとしたのに対し、RFBは「階級利害の擁護」を掲げました。そのため、RFBは国旗団をブルジョワとみなし、時には右翼以上に激しく攻撃しました。

暴力闘争と禁止命令

RFBは、政敵への暴力闘争を積極的に行い、突撃隊以上に当局から危険視されていました。そのため、何度も禁止命令を受けましたが、1933年のナチ党政権誕生まで非合法組織として活動を続けました。

コミンテルンと過激化

1928年秋のコミンテルン第6回大会で極左戦術が採択されると、共産党は一層過激化し、RFBによる抗争事件が増加しました。1929年5月1日のメーデー集会では、警察と全面衝突し、多数の死傷者を出す血のメーデー事件を引き起こしました。これにより、プロイセン自由州で解散命令が出され、公式な活動は終焉を迎えました。

その他の活動と組織

RFBは、毎年聖霊降臨祭に「赤色聖霊降臨祭集会」と称してベルリンで行進を行い、党勢拡大に貢献しました。機関紙『赤色戦線』を発行し、下部組織として「赤色海軍」、「赤色青年戦線」、「赤色婦人および少女同盟」などを擁していました。

ナチ党政権下での解体とその後

ナチ党政権下で共産党が非合法化されると、RFBの隊員たちは経歴を抹消するために関連資料を処分しました。テールマンは逮捕・殺害され、レオーはソ連へ亡命しましたが大粛清の犠牲となりました。その他の元隊員は、強制収容所で殺害されたり、国外に逃れてスペイン内戦や独ソ戦に参加するなどしました。

制服と装備品

制服や装備品類は地域や時代により多くのバリエーションが存在しました。ベルトも「握りこぶしのマーク」の箱型バックルのサム・ブラウン・ベルトが正式な物でしたが、当時の写真では様々な物が混用されていました。腕章は「赤地に黒の握りこぶしのマーク」というデザインで、左下腕部に着用するのが規定でした。

現在の評価

RFBは、ワイマール共和政時代の政治的混乱を象徴する存在であり、その活動は暴力と混乱を招いたとして批判されています。しかし、労働者階級の権利擁護を訴え、反ファシズム闘争の先駆けとなった側面も評価されています。

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