国枝昌樹

國枝昌樹：日本の外交官、多様な経験と鋭い視点

國枝昌樹氏は、1946年生まれの日本の外交官です。神奈川県出身で、栄光学園を経て一橋大学経済学部を卒業後、外務省に入省しました。華々しい経歴だけでなく、多様な文化圏での経験や、国際情勢に対する鋭い洞察が特徴的な人物です。

フランス留学と国際舞台への歩み

外務省入省後、フランスへ留学しフランス語を習得しました。この留学中に、のちの妻となるスイス人女性と出会います。興味深いことに、妻の実家は、國枝氏の祖父が交友関係を持っていた神学者カール・バルトの住居の近くに位置していました。この繋がりは、國枝氏の祖父から指導を受けた神学者、滝沢克己氏からの手紙によって明らかになったとのことです。國枝氏の個人的な歴史と国際的なつながりが深く絡み合っていることがわかります。

多様な勤務地と重要な役割

フランス語圏と中東での勤務経験が豊富です。エジプト、イラク、ヨルダンでの勤務を経て、ジュネーブ軍縮会議日本政府代表部公使を務めました。特に、1990年の湾岸危機においては、イラク大使館参事官として、約240人の日本人人質の解放交渉に尽力しました。イラク外務省アジア局長や秘密警察との交渉は、高い外交手腕と緊張感に満ちた状況下での対応能力の高さを示しています。

その後、ホーチミン総領事を経て、ベルギー大使館公使、社会福祉・医療事業団常任顧問などを歴任。2002年には駐カメルーン特命全権大使兼駐チャド特命全権大使に就任し、カメルーンとの間で円借款の債務救済措置に携わりました。また、現地で出会った小児麻痺のホームレスを援助するなど、外交活動以外にも人的支援にも力を注いでいたことが伺えます。

2006年には駐シリア特命全権大使に就任。シリアとの間で無償資金協力の協定締結にも尽力しました。

アメリカの中東政策への批判とISIL問題

國枝氏は、著書においてアメリカの中東政策について批判的な立場を表明しています。また、ISILによる日本人拘束事件に関しては、政府の交渉への信頼を前提とした上で、より真剣な事後検証が必要だと主張しました。これは、外交官としての経験に基づいた客観的な分析と、危機管理に対する深い洞察を示しています。

同期と出版物

國枝氏の同期には、外務事務次官や駐メキシコ大使などを務めた著名な外交官が多く含まれています。

これらの経験と見識を活かし、國枝氏は多くの著作を発表しています。『湾岸危機―外交官の現場報告』をはじめ、『シリア アサド政権の40年史』、『報道されない中東の真実』など、中東情勢に関する著作は、その地域に対する深い理解と、国際政治への鋭い分析を示しています。これらの著作は、一般読者にも分かりやすく書かれており、国際情勢への関心を高める一助となっています。

まとめ

國枝昌樹氏は、長年にわたり国際舞台で活躍し、多様な経験と豊富な知識を蓄積した外交官です。その経験に基づいた洞察は、多くの著書を通して一般にも広く共有されています。彼の経歴と見解は、国際関係や外交、そして中東情勢を理解する上で貴重な知見を与えてくれます。

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