国法学

国法学とは

国法学（こくほうがく）は、国家を法的視点から分析する学問を指します。ドイツの国家学の中から発展したこの分野は、憲法学としばしば同義に扱われますが、特定の国家に依存せず、一般的な基本原理、すなわち立憲の原則に焦点を当てています。このことから、国法学は時に一般国家学と称され、憲法学汎論や比較憲法学とも関連があります。

森口繁治の著作『憲法学原理』では、国法学の研究対象は法そのものであり、国家に関連する法の意味を探求すると述べられています。このアプローチにより、国法学は「法上における国家の本質」、「国家が法的にどう位置づけられ、構成されているのか」、「国家がどのような作用を行なうか」などの問題を考察します。

日本の国法学の歴史

日本における国法学は、自由主義の立場から進化論的国家有機体説へと移行した加藤弘之による、ヨハン・カスパー・ブルンチュリの『国法汎論』の翻訳によって影響を受けました。戦前、日本の東京帝国大学では、憲法学や国法学の講座が並立して設置されており、憲法学者はこれらの分野にまたがって研究を行なっていました。この時期、国法学講座の初代教授として任命されたのは末岡精一でしたが、彼が1894年に病死した後は一木喜徳郎が後任を務めました。また、戦後の時代には、芦部信喜も国法学講座の教授を歴任しました。

主な国法学者

国法学において重要な役割を果たした日本の学者には次のような人々がいます。

• - 末岡精一：東京帝国大学国法学講座教授
• - 一木喜徳郎：東京帝国大学国法学講座教授
• - 芦部信喜：東京大学国法学講座教授
• - 井上密：京都帝国大学国法学講座教授
• - 市村光恵：京都帝国大学国法学講座教授
• - 森口繁治：京都帝国大学国法学講座教授
• - 朧谷峻嶺：京都帝国大学国法学講座教授

関連分野

国法学は様々な法学の分野と関連があります。

• - 基礎法学
• - 法哲学
• - 法社会学
• - 公法学
• - 憲法学
• - 政治哲学

主な文献

日本における国法学や関連する文献には以下のようなものがあります。

• - 末岡精一『比較国法学』（1899年）
• - 樋口陽一『国法学』（2004年）

国外の重要な文献には、次のようなものがあります。

• - ヨハン・カスパー・ブルンチュリ『国法汎論』（1852/1886年）
• - ゲオルグ・イェリネック『一般国家学』（1900年）
• - フランツ・オッペンハイマー『国家論』（1908年）
• - ハンス・ケルゼン『一般国家学』（1925年）
• - ルドルフ・スメント『憲法体制と実定憲法』（1928年）
• - カール・シュミット『憲法論』（1928年）
• - ヘルマン・ヘラー『国家学』（1934年）
• - ラインホルト・ツィッペリウス『一般国家学』（2017年）

このように、国法学は日本の法律制度とも深く関わりがあり、その発展には多くの学者の貢献がありました。

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