国王手許金会計長官

国王手許金会計長官：英国王室の財政を司る重職

国王手許金会計長官（Keeper of the Privy Purse）は、英国君主の私的な財産支出や慈善団体への寄付を管理する重要な宮廷職です。バッキンガム宮殿内に置かれた国王手許金会計官事務局を率い、王室の財政運営に深く関わっています。

概要

会計長官は、国王付会計官(Treasurer to the King / Queen)と共に王室の財産管理の責任を担います。具体的には、君主による慈善団体への寄付や加入、チャペル・ロイヤルの助成金管理などを行います。事務局は、会計長官を筆頭に複数のスタッフで構成され、バッキンガム宮殿内で他の部署と連携を取りながら業務を遂行しています。

宮廷内郵便を通じて、宮内長官事務局や国王秘書官事務局といった他の部署と日常的に連絡を取り合っています。

歴史

その歴史を紐解くと、初期の会計長官は「王のお気に入り」が任命される傾向にありましたが、ヘンリー・ノリスのように処刑された事例も存在します。チャールズ2世の時代からジョージ2世の時代にかけては、勅許状に基づき宮内長官の指名で任命されていましたが、ジョージ3世の時代には公文書上の記録がないことから、口頭での非公式な任命へと変化したと考えられています。

ジョージ3世は、寵臣であった第3代ビュート伯爵ジョン・ステュアートを首相退任後も会計長官として宮廷に留任させ、国政への影響力を維持させようとしたことが、悪しき前例として記録されています。その後、放蕩で知られる摂政ジョージの時代に、官報掲示による公式任命が復活し、現在に至っています。

王室費の変遷

会計長官が管理する王室費の額は、時代と共に大きく変動してきました。17世紀から19世紀にかけては2万～6万ポンドでしたが、外遊を好んだエドワード7世の時代には11万ポンドへと大幅に増額されています。これは、王室の活動範囲の拡大やライフスタイルの変化を反映したものでしょう。

現在の国王手許金会計長官

現在の国王手許金会計長官は、サー・マイケル・スティーブンス(1958-)が務めています。

国王手許金会計長官は、王室の財政を管理し、その活動を支える上で欠かせない存在です。その役割は、単なる財産管理にとどまらず、王室の伝統と格式を維持し、社会貢献を促進するという重要な使命を担っています。

関連項目

* 王室会計官

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