国立コンピューティング博物館

国立コンピューティング博物館：コンピュータの歴史をたどる旅

英国バッキンガムシャー州ミルトン・キーンズのブレッチリー・パークにある国立コンピューティング博物館（TNMOC）は、コンピュータ史を深く理解するための貴重な場所です。第二次世界大戦中に暗号解読の中心地として機能したこの地で、TNMOCは歴史的なコンピュータや計算機器の収集、修復、展示を行っています。

博物館の設立と展示

2007年に開設されたこの博物館は、世界初の専用コンピュータセンターとして使われていたブレッチリー・パークのブロックHに位置しています。この建物には、かつて6台のColossus暗号解読機が設置されていました。現在では、ボランティアチームによって丹念に復元されたColossus Mark 2が、その中心的な展示品として公開されています。

博物館の展示は、第二次世界大戦中の暗号解読活動から、現代のコンピューティング技術まで、幅広く網羅しています。初期のコンピュータであるColossusに加え、世界最古のデジタルコンピュータの一つと言われるハーウェル・コンピュータ（WITCH）、1960年代のElliott 803・903、1980年代のICL 2900メインフレーム、IBM 1130など、様々な時代のコンピュータを見ることができます。さらに、アナログ計算機、機械式・電子式計算機、計算尺など、コンピューティング技術の進化を物語る貴重な資料が展示されています。

近年では、エニグマ解読に使われたボンブも展示に加わり、さらに充実した内容となっています。また、ロンドンターミナルコントロールセンターで使用されていた航空交通管制システム（PDP-8・PDP-11ベース）の復元プロジェクトも進行中です。パーソナルコンピュータの歴史や、様々な時代のテレビゲーム機も展示され、来場者は実際に操作することもできます。現在も復元作業は続けられており、ケンブリッジ大学にあったEDSACコンピュータの復元プロジェクトも進行中です。

博物館の運営と資金調達

国立コンピューティング博物館は、独立したボランティア組織によって運営されています。公的資金には依存せず、個人や企業からの寄付、入場料によって運営を維持しています。主要な支援者には、ブレッチリーパーク・キャピタルパートナーズ、富士通、Googleイギリスなど、多くの企業や団体が名を連ねています。

2018年には、クラウドファンディングによってボンブの新しい展示室建設のための資金調達を行い、目標額を大きく上回る資金を集めました。この成功は、博物館に対する高い関心の表れであり、その活動を支える多くの支援者の存在を示しています。

開館時間とアクセス

博物館の開館時間は午前10時30分から午後5時までです。週6日開館しており、多くの祝祭日も開館しています。ガイド付きツアーも実施されており、コンピュータの歴史をより深く知りたい方にはおすすめです。ブレッチリー・パークという歴史的な場所にあるため、周辺には見どころも多く、一日を通して楽しめる観光地となっています。

まとめ

国立コンピューティング博物館は、単なる博物館ではなく、コンピュータの歴史を体験し、学ぶことができる貴重な場所です。第二次世界大戦中の暗号解読から現代のコンピューティング技術まで、幅広い展示を通して、コンピュータ技術の進化を肌で感じることができるでしょう。この博物館は、技術の歴史に興味がある人だけでなく、コンピュータの未来を考える上でも、重要な示唆を与えてくれる場所です。

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