国立世論調査所

国立世論調査所について

国立世論調査所は、1949年に設立され、1954年に廃止された日本の総理府附属機関です。政府による世論操作や言論統制の懸念を払拭するため、政府から独立した立場で世論調査を行うことを目的としていました。この機関は、それまでの総理庁世論調査部を改編して設立され、東京都に置かれました。

設立の背景

国立世論調査所の設立は、国会での建議、内閣の世論調査室自身からの要望、そして民間情報教育局の援助によって実現しました。また、GHQ（連合国軍最高司令官総司令部）の援助も受けていましたが、人事院や公正取引委員会のようにGHQの命令によって設置された機関ではありませんでした。設立当初の所長には、内閣世論調査課の小山栄三が就任しました。

運営体制

運営方針は、7名の委員で構成される世論調査審議会によって決定されていました。委員には、社会学者の戸田貞三や時事通信社世論調査室長の沼佐隆次などが名を連ねていました。この審議会が、調査の計画や実施における重要な役割を担っていました。

調査活動と廃止

設立から廃止までの5年2ヶ月の間、国立世論調査所は65件もの調査を実施しました。これらの調査は、当時の社会情勢や国民の意識を把握する上で重要なデータを提供しました。しかし、1954年に国立世論調査所は廃止されることになります。その後、企画部門は総理府に移管され内閣審議室に、実務部門は時事通信社の調査室と合併し、社団法人中央調査社として新たなスタートを切りました。

組織の変遷

国立世論調査所の廃止後、その機能はいくつかの組織に引き継がれました。企画部門は政府内に残り、政策立案のための基礎データを提供する役割を担いました。一方、実務部門は民間組織に移行し、世論調査の専門機関として発展を遂げました。この変遷は、政府と民間がそれぞれ専門性を活かし、世論調査の実施体制を最適化しようとした結果と言えるでしょう。

関連組織

中央調査社: 国立世論調査所の実務部門を継承した調査会社。
輿論科学協会: 世論調査に関する学術的な研究を推進する団体。
日本輿論調査研究所: 世論調査に関する研究を行う機関。
日本放送協会放送世論調査所: 日本放送協会（NHK）の世論調査部門。
日本世論調査協会: 世論調査の質向上を目的とした業界団体。

関連法規

国立世論調査所設置法 (法律第百二十八号)：国立世論調査所の設置根拠法。
* 総理府設置法の一部を改正する法律 (法律第二百一号)：国立世論調査所の廃止に関する法律。

国立世論調査所は、短期間で廃止されたものの、日本の世論調査史において重要な役割を果たした機関です。その設立の背景や運営体制、そして廃止後の組織の変遷は、現代の世論調査のあり方を考える上で参考になる点が多いと言えるでしょう。

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