国立国会図書館関西館

国立国会図書館関西館：日本の知識基盤を支えるもう一つの拠点

国立国会図書館関西館は、京都府相楽郡精華町にある国立国会図書館です。東京本館の蔵書増加と高度情報化社会への対応を背景に、2002年10月、関西文化学術研究都市に開館しました。単なる東京本館の分館ではなく、国立国会図書館法に基づく「中央の図書館」の一つとして、東京本館と並ぶ重要な役割を担っています。

開館までの道のり：長年の構想と準備

関西における国立国会図書館の設置は、1970年代後半から自治体、学会、経済界からの強い要望がありました。1978年の「近畿圏基本整備計画」決定を契機に、本格的な検討が始まり、1980年代には調査会が設置され、関西文化学術研究都市への設置が決定されました。その後、準備室設置、建設基本計画の策定、設計コンペを経て、1998年に着工、2002年に開館に至りました。建築は陶器二三雄氏の設計で、その卓越したデザインは日本建築学会賞を受賞しています。

関西館の役割とサービス：充実した資料と先進的な機能

関西館は、東京本館の蔵書を補完するだけでなく、独自の役割を担っています。特に、アジア関連資料、科学技術関連資料、外国雑誌の所蔵に力を入れており、これらの分野における研究者にとって貴重な情報源となっています。

館内には、約1700万点の資料を収蔵できる大規模な自動書庫が設置され、無人搬送車による効率的な資料管理が行われています。開架資料は約12万点で、日本語および外国語の図書、雑誌、新聞、官庁出版物、法令・議会資料などを閲覧できます。

利用者は、総合閲覧室とアジア情報室の二つの閲覧室を利用できます。OPAC（NDL-OPAC）システムを通じて、閉架資料の閲覧請求や蔵書検索も可能です。研究室も用意され、学術研究にも対応しています。国会図書館デジタルコレクションの実務も担い、デジタル化された資料の提供にも貢献しています。

民間出版物の納本は、1部が義務付けられていますが、2部目を寄贈した場合、原則として1部目を東京本館、2部目を関西館に収蔵する体制がとられています。

アクセスと施設

関西館は、関西文化学術研究都市に位置し、公共交通機関（近鉄、JR、京阪バスなど）と車でのアクセスが可能です。無料駐車場も完備しています。館内には、衆議院共済組合運営のカフェテリアがあります。

新型コロナウイルス感染症の影響

2020年には、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、一時休館を余儀なくされました。感染症対策を講じた上で、現在は通常通り開館し、利用者の安全確保に配慮しながらサービスを提供しています。

まとめ

国立国会図書館関西館は、東京本館と連携し、日本の学術研究、文化発展に貢献する重要な拠点です。充実した資料、先進的な設備、アクセスしやすい立地を活かし、今後も研究者や一般利用者にとってなくてはならない存在であり続けるでしょう。その役割は、単なる蔵書保管を超え、デジタル化時代における知識基盤の構築にも及んでいます。

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