OPAC

オンライン公開目録（OPAC）の解説

オンライン公開目録（OPAC: Online Public Access Catalog）は、図書館の蔵書情報をオンラインで検索・閲覧できるシステムです。インターネットを通じてアクセスできるOPACは、Web OPACまたはインターネットOPACと呼ばれます。現代では、ほとんどのオンライン目録が利用者による検索を前提としており、OPACとオンライン目録の区別は曖昧になっています。

OPACの歴史と発展

図書館における蔵書目録の作成は古くから行われており、かつては紙製のカードに書誌情報や所在情報を書き込み、カードボックスに保管していました。OPACは、これらの情報を機械が読み取れる形式（機械可読目録、MARC）に変換し、コンピュータで管理・検索できるようにしたシステムです。

OPACの研究と利用は、1970年代のアメリカで始まりました。アメリカ議会図書館やOCLC、RLINなどの機関が中心となり、その後ヨーロッパにも広まりました。日本においては、日本語の文字体系の複雑さから、コンピュータ処理が可能な段階になるまで時間を要しました。1980年代後半から国立国会図書館や大学図書館を中心に導入が進み、1990年代にはインターネットの普及によりWeb OPACが登場し、図書館以外からもアクセスできるようになりました。

日本では、1997年時点で公共図書館の58.4%、大学図書館の76.4%がOPACを提供していました。2010年の調査では、公共図書館と大学図書館の両方で9割以上の導入率となっています。

OPACの導入により、カード目録では不可能だった高度な検索（部分一致検索など）が可能になり、大学図書館では学術情報センター（現：国立情報学研究所）のNACSIS Webcatによる大学間横断検索も実現しました。現代のOPACは、書誌情報だけでなく、貸出状況や予約状況などの情報も提供しています。

OPACの課題

OPACは高度な検索や貸出状況確認などの利点がありますが、コストの問題やユーザインターフェースの統一性の欠如なども課題として挙げられます。また、開発段階では、外字問題、新旧JISコード問題、漢籍目録の欠落、非日本語資料のOPAC化、データ形式の違いによる図書館間横断検索の困難さといった問題がありました。これらの課題は日本だけでなく、アメリカでも漢字対応などにおいて問題となっていました。

OPACの世代

OPACは、大きく分けて以下の世代に分類されます（チャールズ・ヒルドレスの分類）。

ゼロ世代: カード目録作成のコンピュータ支援に留まり、出力はカードや印刷リストのみ。
第一世代: 書名や著者名による完全一致検索が可能になったが、ヘルプ機能などは実装されていなかった。
第二世代: 通信技術の発展により図書館間のネットワーク構築が可能になり、部分一致検索や並べ替え機能、ヘルプ機能が追加された。
第三世代: 貸出記録などの情報を一括管理し、インターネット接続により利用範囲が拡大した。

OPACのユーザインターフェース

OPACの検索方式は、大きく分けて3種類があります。

無指定方式: 1つの検索ボックスにキーワードを入力し、書名、著者、出版社、出版年などをまとめて検索する方式。2010年代以降の主流となっています。
選択方式: 検索したい条件を指定して検索する方式。比較的簡単だが、操作が冗長になる可能性がある。
* コマンド方式: コマンドで検索条件を指定する方式。高度な検索が可能だが、初心者には難しい。

結論

OPACは、図書館サービスの向上に大きく貢献してきたシステムです。しかし、課題も残っており、今後の発展が期待されます。特に、ユーザインターフェースの改善や、様々なデータ形式への対応、そして、図書館間の連携強化が重要です。これらの課題解決に向けた取り組みが、より便利で使いやすいOPACの実現につながるでしょう。

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