国立土木学校

国立土木学校（École nationale des ponts et chaussées, ENPC）

1747年創立のフランス最古にして名門のグランゼコール、国立土木学校（ENPC）は、理工系エリートの育成機関として高い評価を得ています。パリ郊外のシャン＝シュル＝マルヌにキャンパスを構え、エコール・ポリテクニーク、パリ国立高等鉱業学校と並び、フランスを代表する理工系高等教育機関として君臨しています。かつてはパリ中心部にキャンパスがありましたが、2000年に現在の場所に移転しました。ビジネススクールはパリに残されています(2008年まで)。

歴史

ルイ15世の勅令により、王立土木学校（École Royale des Ponts et Chaussées）として設立されました。以来、国家の建設に不可欠な土木・建築分野の高度専門家を育成する役割を担ってきました。

教育

ENPCの教育プログラムは、工学、経済、経営学を融合させたカリキュラムが特徴です。伝統的に土木工学、建築、交通、環境、都市計画、産業工学などに強みを持ち、近年はビジネススクールを設立するなど、経営学分野も積極的に強化しています。

教育プログラム

ENPCは、以下の3つの主要な教育プログラムを提供しています。

1. 工学プログラム: 5年間の大学院レベルのプログラムです。フランスにおけるエンジニア資格（Diplôme d'ingénieur）を取得できます。高い競争率を突破した学生のみが入学を許されます。
2. 博士号プログラム: 工学プログラム修了者を対象としたPh.Dプログラムです。
3. プロフェッショナルプログラム: MBAをはじめとした、各大学やグランゼコール卒業生向けのプログラムです。世界各国の大学と連携し、グローバルな視点を持った人材育成に力を入れています。

学部

ENPCの教育プログラムは、以下の学部によって提供されています。

土木工学・建築学部
交通・都市計画・環境学部
機械工学・物質科学学部
応用数学・コンピュータサイエンス学部
経済・ファイナンス学部
産業工学・経営学部

MBAプログラムは、ENPC School of International Managementが担当し、世界戦略の一環としてアジア地域では上海の大学と提携しています。また、Temple University(The Fox School of Business)とも提携しています。

研究

ENPCは、INRIAと共にScilabの主要開発機関の一つです。

学生交流

ENPCは世界中の多くの大学と学生交流協定を結んでおり、日本からは東京大学と東京工業大学が協定校となっています。

著名な卒業生

ENPCは、数多くの著名な卒業生を輩出しています。その中には、政治家、学者、技術者、建築家、経済学者など、様々な分野で活躍する人材がいます。例として、以下のような人物が挙げられます。

マリー・フランソワ・サディ・カルノー（フランス第三共和政第4代大統領）
アンドレ・クレージュ（ファッションデザイナー）
アンリ・ベクレル（物理学者、ノーベル物理学賞受賞）
ジャン・ティロール（経済学者、ノーベル経済学賞受賞）
ドミニク・ペロー（建築家）
松田千恵子（経営学者）

ENPCは、フランスのみならず、世界的な影響力を持つ理工系グランゼコールとして、これからも多くの優秀な人材を育成していくでしょう。

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