国立工業教員養成所

国立工業教員養成所について



国立工業教員養成所は、日本において工業高校の教員を育成することを目的とした養成機関です。1949年の学制改革により、高等学校の工業科教員の養成は全国7ヶ所の工業教員養成課程を基盤として行われましたが、1961年に「国立工業教員養成所の設置等に関する臨時措置法」が制定され、1963年に国立大学に併設される形で9校の養成所が設立されました。対象となった大学は、北海道大学、東北大学、東京工業大学、横浜国立大学、名古屋工業大学、京都大学、大阪大学、広島大学、そして九州大学です。

1960年代初頭、日本の教育システムは団塊の世代によって変化を迎え、高校入学者が急増しました。また、この時期は高度経済成長の真っただ中であり、工業化が進展した結果、多くの工業高校とそれを支える教員が求められるようになりました。これに応じて計画されたのが、8年間で8640名の教員を養成する制度です。急増するニーズに対応するため、高速かつ効率的な教育が焦点となりました。

しかし、初期の国立工業教員養成所は卒業後の進路に多くの制約がありました。当初は、養成所の卒業生は大学の4年次への編入が許可されず、大学院への進学もできませんでした。さらに、「学士の称号」を得ることができない状態でした。これは、養成所が「工業高校教員を養成する学校」として機能する上での大きな課題でした。この問題は1967年の法律改正によって一部解決されましたが、大学編入が無条件で行えたわけではありません。

教育内容に関しては、3年間での密度の高い教育が行われ、カリキュラムは非常に圧縮されていました。ただし、教員の定員は一般の大学工学部に比べて少ないため（1学科あたり教授、助教授、助手各2名）、質の高い教育が実現できるのかという疑問の声も上がっていました。

時代が進むにつれて、工業科の増設計画も進みました。工学部から工業教員として就職する卒業生が増えてきたため、国立工業教員養成所の学生募集は1967年度から停止されました。さらに、根拠法も1969年に廃止され、その結果、実質的には1969年度限りで廃止されることとなりました。養成所は、在籍者がいる限りは存続することができるとされていましたが、実際には学生募集が停止されていたため、事実上の廃止が進行していました。

設置されていた養成所



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