国立水俣病総合研究センター

国立水俣病総合研究センターについて

国立水俣病総合研究センター（NIMD）は、四大公害病の一つである水俣病の研究を推進し、患者の医療向上を図ることを目的として設立された施設です。環境省環境調査研修所の所属機関として、熊本県水俣市に拠点を置いています。

組織構成

センターは、所長の下に総務課、国際・総合研究部、臨床部、基礎研究部、環境・保健研究部の4部1課体制で構成されています。

総務課：庶務係と経理係から成り、センターの運営を支えます。
国際・総合研究部：国際情報室、地域政策研究室、水銀分析技術研究室で構成され、国際的な共同研究や情報発信、水銀分析技術の研究などを行います。
臨床部：総合臨床室とリハビリテーション室があり、メチル[[水銀]]中毒の臨床医学的研究や、患者の診療、リハビリテーションを行います。
基礎研究部：毒性病態研究室、生理影響研究室、衛生科学研究室で構成され、水銀の毒性や影響に関する基礎的な研究を行います。
環境・保健研究部：生態学研究室、環境科学研究室、環境保健研究室で構成され、水銀の環境動態や健康影響に関する研究を行います。

沿革

1973年：三木武夫環境庁長官がセンター設立を発表
1978年：「国立水俣病研究センター」として発足
1979年：疫学研究部を新設
1980年：SPF実験棟が完成
1988年：アイソトープ実験棟が完成
1996年：WHO協力センター開所、中大動物実験棟完成、「国立水俣病総合研究センター」に改組、国際・総合研究部を新設
1997年：国際研究協力棟が完成
2000年：廃液処理棟館完成
2001年：水俣病情報センターを開館、国際水銀会議2001事務局を担当
2003年：環境調査研修所に組織統合
2005年：共同研究実習棟が完成
2006年：水俣病公式発見50年記念事業に参加、介護予防等在宅支援モデル事業を開始
2007年：「出水リハビリテーションセンター」を開所

主要施設

管理研究棟：センターの中枢となる施設。
リハビリ棟：患者のリハビリテーションを行うための施設。
臨床棟：患者の診療を行うための施設。
リサーチ・リソース・バンク棟：過去の水銀中毒実験や部検資料を保管し、研究者に提供。
動物実験棟：SPF動物実験棟、中大動物実験棟、小動物実験棟の3棟で構成され、動物実験を実施。
アイソトープ実験棟：放射線同位元素（RI）を用いた研究を実施。
特殊廃液処理棟：水銀を含む有害な実験廃液を無毒化処理。
国際研究協力棟：海外の研究者に研究室や宿泊施設を提供。
共同研究実験棟：環境中の水銀動態を研究、特に水、土壌、大気中の水銀動態を重点的に研究。

研究内容

センターでは、国際的な共同研究や情報交換を積極的に行い、水銀汚染問題の解決に向けて、以下の様な多岐にわたる研究活動を展開しています。

国際・総合研究部：世界各国からの研究者を招き、水銀分析技術やモニタリング技術、臨床診断技術に関する共同研究を実施。
「NIMDフォーラム」や「国際ワークショップ」などの国際会議を開催し、研究者間の意見交換を促進。
水俣病情報センターを開設し、関連資料の調査や展示、ホームページでの情報発信を行う。

社会科学室：水俣病の歴史的、社会的問題点を調査・考察し、地域社会の復興支援に取り組む。水俣病患者の生活状況を把握し、医療福祉事業の向上を目指します。

自然科学室：水銀の環境動態調査を展開し、水銀汚染の実態を把握。開発途上国における水銀問題にも取り組み、環境調査や技術移転を行います。大気中の水銀動態に関する研究も行っています。

臨床部：水俣病の症状を客観的に評価する方法の開発や、加齢に伴う症状悪化、脳血管障害の可能性、胎児期の水銀曝露の影響などを研究。
理学診療科室では、患者の健康不安や精神的負の因子、ミトコンドリアによる障害などを研究。
検査室では、毒性機構の解明や、知能障害抑制に関する研究を実施。
薬剤室では、水銀排泄剤の併用効果や、胎児期曝露の影響モデル作成に関する研究を実施。

基礎研究部：メチル[[水銀]]の遺伝的影響や細胞毒性、神経機能障害における病因などを研究。
病理室では、メチル[[水銀]]の遺伝的影響評価法を開発、細胞毒性の比較検討を実施。
生化学室では、毛髪水銀の全国調査を行い、データバンクを作成。
生理室では、水銀耐性微生物の生態学研究や、発生毒性スクリーニング法を開発。

疫学研究部：メチル[[水銀]]汚染と人体影響に関する疫学調査を実施し、特に胎児や新生児期への影響を研究。水銀が胎児に与える危険性や、母乳からの危険性について明らかにしています。
リスク評価室では、魚介類に含まれるDHAと水銀の相関や、土壌汚染を防ぐ水銀回収方法を研究。

研究活動外の取り組み

センターでは、研究活動だけでなく、以下の様な地域医療や社会貢献活動も行っています。

リハビリテーション主体の療養法や治療法の指導
介護予防事業の実施
健康セミナーの実施
健康管理事業の推進
地方自治体への協力強化

外部リンク

国立水俣病総合研究センター
国立水俣病総合研究センター - Facebook
国立水俣病総合研究センターライブ配信チャンネル - YouTube
* 太地町における水銀と住民の健康影響に関する調査結果について

もう一度検索