国語伝習所

国語伝習所の概要

国語伝習所（こくごでんしゅうじょ）は、1896年から1898年にかけて、台湾総督府が台湾で実施した日本語中心の基礎教育機関です。この伝習所の設立は、日本の植民地政策の一環として、日本語の普及を促進するためのものであり、台湾における西洋式教育の先駆けとなりました。国語伝習所は、のちに台湾で発展する公学校の基盤ともなった施設です。

1. 背景と設立の目的

1895年、日本は台湾の統治を開始し、その後、台湾の教育政策に対する積極的なアプローチが求められました。その中で、台湾総督府は日本語の普及を重視し、初代学務部長の伊沢修二は『台湾教育意見書』を発表しました。この文書では、日本による台湾統治における最も重要な政策として日本語教育を明示し、それに基づく具体的な計画が策定されました。

1896年、台湾総督府は『国語伝習所規則』を公布し、全台湾での日本語教育を促進するための方針を示しました。この規則に従い、台湾の主要都市には合計14ヶ所の国語伝習所が設置され、それに関連して分教場も設けられました。そこでは初めて日本語の授業が開講され、歌や数学の教育も行われました。

2. 教育システムの発展

国語伝習所の設立当初、台湾人の就学率は必ずしも高くありませんでしたが、総督府は無償教育を提供し、日本語が日常生活の中でも必要とされる状況が増加したことから、次第に就学する児童の数は増加していきました。伝習所の運営は1898年まで続き、その間に多くの台湾人に教育の機会を提供しました。

3. 国語伝習所の意義

国語伝習所は植民地政策の一環として設立されたものでしたが、結果的には台湾民衆に広く教育が行き渡るための初めの一歩となりました。この教育機関の存在は、台湾の教育史において重要な意味を持ち、後の公教育体制への道を開くこととなりました。国語伝習所の設立により、日本語の普及だけでなく、西洋式の教育制度が正規のものとして台湾に根付くきっかけとなりました。

4. 国語伝習所の一覧

国語伝習所の具体的な例として、以下の学校が挙げられます：

• - 台北国語伝習所（現：台北市立太平国民小学）
• - 宜蘭国語伝習所（現：宜蘭県立中山国民小学）
• - 基隆国語伝習所（現：基隆私立信義国民小学）
• - 新竹国語伝習所（現：新竹市立新竹国民小学）
• - 苗栗国語伝習所（現：苗栗県立建功国民小学）
• - 台中国語伝習所（現：台中市立忠孝国民小学）
• - 雲林国語伝習所（現：雲南県立鎮西国民小学）
• - 鹿港国語伝習所（現：台中県立鹿港国民小学）
• - 滬尾国語伝習所（現：台北県立淡水国民小学）
• - 鳳山国語伝習所（現：高雄県立鳳山国民小学）
• - 恒春国語伝習所（現：高雄県立恒春国民小学）
• - 台南国語伝習所（現：国立台南師範大学附属国民小学）
• - 嘉義国語伝習所（現：嘉義市立崇文国民小学）
• - 澎湖国語伝習所（現：澎湖県立馬公国民小学）
• - 台東国語伝習所（現：国立台東大学附属国民小学）

国語伝習所は台湾における教育の重要なマイルストーンであり、その影響は今もなお感じられています。

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