国連特別報告者

国際連合の特別報告者について

国際連合（国連）の特別報告者は、国際連合人権理事会から任命される専門家で、主に特定の国やテーマに関する人権状況を調査し、その結果を報告します。これらの専門家は、政府や組織とは独立した立場で職務を行い、給与などの金銭的報酬は一切受け取らないため、中立性が求められています。特別報告者の任期は通常3年間ですが、場合によっては最長6年まで延長されることがあります。

特別報告者は時として「独立専門家」とも呼ばれ、特定のテーマや地域に関する複数の報告者を兼任することもあります。たとえば、各国の人権状況について報告する地域別報告者や、意見・表現の自由、移住者の権利、教育、環境問題など、テーマ別に分かれた専門家たちが存在します。

日本政府による定義

日本政府は特別報告者を「特定の国の状況または特定の人権に関するテーマに関し調査報告を行うために、人権理事会から個人の資格で任命された独立の専門家である」と定義し、特別報告者の意見が国連やその機関である人権理事会の公式見解ではないことを明示しています。また、国際法学者である小坂田裕子は、特別報告者の勧告は国連の見解とも、一私人の見解とも異なるものであると指摘しています。

現在の地域別報告者

特別報告者は、さまざまな国や地域においてその人権状況を専門的に調査しています。以下の国々には、現在任命されている地域別報告者がいます:

• - イラン
• - カンボジア
• - コートジボアール
• - スーダン
• - シリア
• - ソマリア
• - 朝鮮民主主義人民共和国

- マルズキ・ダルスマン（2010年8月～2016年8月）
- トマス・オヘア・キンタナ（2016年8月～）

• - ハイチ
• - パレスチナ被占領地（1967年以降）
• - ベラルーシ
• - マリ
• - ミャンマー

- 李亮喜（ミャンマーの人権状況に関する特別報告者）

現在のテーマ別報告者

また、特別報告者はテーマごとにも分かれており、以下のような重要な問題に取り組んでいます:

• - アフリカ系の人々
• - 表現の自由

- デイヴッド・ケイ（2014年8月～）

• - 移住者の権利
• - 拷問問題
• - 恣意的拘禁
• - 其他多くのテーマ

重要な事例

特別報告者たちは、過去にいくつかの重要な報告を提出しています。1996年にラディカ・クマラスワミは「クマラスワミ報告」をまとめ、1998年にはゲイ・マクドゥーガルが「マクドゥーガル報告書」を提出しました。さらに、2011年にはジョン・ラギーが「ビジネスと人権に関する指導原則」を発表し、国連の枠組みを実施するための重要なガイドラインを示しました。また、2014年にはマルズキ・ダルスマンが朝鮮民主主義人民共和国における人権状況に関する調査結果を公表しました。

このように、国際連合の特別報告者は、国際的な人権基準の維持と促進に重要な役割を果たしており、それぞれの専門分野での活動を通じて、グローバルな人権の改善に貢献しています。

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