国鉄ウ1形貨車

国鉄ウ1形貨車について

国鉄ウ1形貨車（こくてつウ1がたかしゃ）は、かつて日本国有鉄道（国鉄）及びその前身である鉄道省において用いられていた10トン積みの貨車です。この車両は豚を輸送するために設計されたものであり、特有の形状と機能を備えていました。

車両の概要

ウ1形貨車は、1928年（昭和3年）5月に行われた車両称号規程の改正を受けて、カ24850形からウ1形（ウ1 - ウ70）へと名称が変更されました。このカ24850形は1928年の1月から、ワフ20500形の70両が鷹取工場で改造されて誕生した形式です。しかし、カ24850形はウ1形に再び形式番号が変更されてしまう短命なものでした。

この称号規程の改正においては新たに豚積車が正式に導入され、それまでの貨車の中で初めて豚積車として名付けられたのがこのウ1形貨車でした。豚積車には通常の貨車と異なり付添人室が存在するため、時折豚積緩急車と混同されることもありました。1940年（昭和15年）にはウ59とウ65の2両がウ100形へと改造されるという出来事もありました。

特徴と仕様

豚は体長が比較的低いため、ウ1形貨車の車体は固定棚を装備し、上下に二段構造を形成しています。この構造により、約45頭の豚を放し積みすることが可能でした。また、車両の塗装は黒一色であり、外観はシンプルですが機能的なデザインです。具体的な寸法については、全長が8,109mm、全幅が2,515mm、全高が3,460mmとされ、実容積は21.7立方メートル、自重は8.0トンから8.5トンと、コンパクトながらも多くの豚を運べる能力を有していました。

廃車とその後

1952年（昭和27年）には「老朽貨車の形式廃車」の対象として指定され、同年の6月26日には通達（車管第1232号）が発令されました。この時点で在籍していた車両数は4両であり、その後、同年中に形式が消滅しました。

ウ1形貨車はその名の通り、特定の目的に特化された貨車であったため、鉄道の歴史の中では特異な存在として認識されています。今ではその姿を見ることはできませんが、かつては日本の農業と食肉産業を支える重要な役割を果たしていたと言えるでしょう。

参考文献

• - 貨車技術発達史編纂委員会 編「日本の貨車―技術発達史―」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊

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