国鉄カ1500形貨車

国鉄カ1500形貨車の概要

国鉄カ1500形貨車は、かつて日本国有鉄道（国鉄）で運用されていた有蓋貨車で、特に家畜の輸送を目的とした形式です。この貨車は1933年11月21日から1942年6月19日までに、日本車輌製造と川崎車輛で製造され、合計225両が製造されました。

設計と特長

カ1500形貨車は、10トンの積載能力を持つ二軸の家畜車で、初期車（カ1500 - カ1549）と後期車（カ1550 - カ1724）の二つのグループに分かれます。後期車は、1935年から製造されたもので、外観上の違いとして、牛が見えにくいように設計された側板の張り方や筋交いの追加が挙げられます。

この貨車は、従来の家畜車のデザインを大幅に改良したもので、広い車体により牛を横向きに積むことが可能です。例えば、肉牛では最大10頭、役牛では14～15頭の積載が実現されています。車体構造も工夫されており、木製の側板を透かし張りにすることで通気性を向上させています。

また、側板は外部の景色を見えにくくするように設計されており、特に牛が外の視界を遮られるように目の高さに横板が渡されています。これにより牛の疲労を軽減し、快適な輸送が可能になります。さらに、側板上部には間隔を広くした部分があり、ここには鋼線の手摺が取り付けられています。

荷役と清掃

中央部には幅1,500mmの木製荷役扉が配置され、全体に均等に木板が張り巡らされています。これにより、物品の出入りや荷役作業がスムーズに行えます。また、引戸は上部のレールに吊る形式になっており、わらくずなどの汚れにより開閉が困難になる事態を避ける工夫がなされています。

床板は木製ですが、清掃を容易にするために側板よりも張り出して設置されており、側板の下部には清掃を促進するための隙間があります。これにより、日常のメンテナンスや清掃作業がしやすくなっています。ただし、側ブレーキの設置部には、作業員の安全を考慮し、後に改修が行われた結果、隙間が塞がれています。

技術的特性

この貨車は、運転において一段リンク式の軸ばね支持装置を採用し、最高速度は65km/hでした。しかし、1959年の整備工事により、残存するすべての車両が二段リンク式に改造され、最高速度が75km/hに引き上げられました。これに伴い、動揺防止のために特別な軸ばねが採用され、また、軸距は当時の他の二軸貨車よりも長めに設定されています。

荷台の寸法は、長さ6,000mm、幅2,300mm、高さ1,950mmで、床面積は13.8m²、容積は26.9m³です。全長は6,850mm、全幅は2,672mm、全高は3,315mmで、自重は7.8tに達します。

役割と消滅

カ1500形貨車は、全国で標準的な家畜車として多くの場面で使用されましたが、1970年代に入ると、輸送手段が生体輸送からトラックによる枝肉輸送に変わり、需要が減っていきました。その結果、1972年度には全車両が廃車となり、形式は消滅しました。これにより、カ1500形は日本の鉄道貨物運送における一時代の終焉を迎えることとなりました。

参考文献

• - 「国鉄貨車形式図集 I」1992年、鉄道史資料保存会刊 ISBN 4-88540-076-7
• - 「日本の貨車―技術発達史―」2008年、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊
• - 日本国有鉄道「100年の国鉄車両 2」1974年、交友社刊

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