国鉄キハ08系気動車

国鉄キハ08系気動車の概要

国鉄キハ08系気動車は、日本国有鉄道（国鉄）が1960年から1963年にかけて、鋼体化した客車を改造して製作した気動車の一群です。この系統は、当初14両が改造という形で製造されましたが、量産化には至らず、1971年にはすべて廃車となりました。なお、この形式名は国鉄車両称号規程には含まれていないものの、改造の理念に基づいているため便宜的に使用されています。具体的には、キハ40形（初代）、キハ45形（初代）、キクハ45形、キサハ45形の四つの形式が関連します。

登場背景

1953年に登場したキハ45000系気動車は、昭和30年代の非電化線区において好評を博しましたが、需要の増加に対して供給が追いつかない状態となり、気動車の新製が待たれるようになりました。そのため、国鉄では効率的な動力車両を確保するための計画が立案され、以前からの客車を改造して気動車化する試みが行われることになったのです。この構想を具体化したのは、当時国鉄北海道支社長であった技術者の細川泉一郎氏で、道内の気動車不足を解消するため、従来の客車にディーゼルエンジンを搭載するといったアイデアが注目されました。

改造の際には、気動車に比較的近い接客設備を持った客車として、60系の木造車が選ばれました。エンジンは国鉄標準のDMH17形ディーゼルエンジンが搭載され、液体変速機が装備され、総括制御が可能な構造に設計されました。この設計選択は、将来的な早期廃車を見越したためだと考えられています。

形式の詳細

改造されたキハ08系の形式は主に三つで、

• - キハ40形（オハ62形から改造）: 両運転台構造で、1960年に3両が製造されました。
• - キハ45形（オハフ62形から改造）:片運転台の仕様で、1960年から1962年にかけて5両改造されました。
• - キクハ45形（オハフ61形から改造）: 機関を持たない制御車で、温風暖房装置が付随しており、1961年から1962年にかけて3両が改造されました。

それぞれの車両は北海道の苗穂工場で改造され、特にキハ40とキハ45は改造工事において、車体のデザインを施しながらも味わいのある外観が特徴的でした。

運用と短命の経緯

これらの気動車は、当初の期待とは裏腹に、車体の重量が重くなったために走行性能に限界が生じました。内装スペースも、所期の計画に比べて快適さが不足し、それが実際の運用にも影響を与えました。多くの場合は、より軽量な気動車と併結しながら運用されていました。

また、改造のコストが高くついたことも要因の一つで、改造費は当時1両1200万円に達しました。この価格のため、量産化は行われず、結果として1971年までにすべてが廃車となることになりました。改造されたキハ08 1は教材として残されたものの、その後1980年代には解体されました。

その後の影響

このように短命に終わった国鉄キハ08系気動車でしたが、その後の気動車化の試みには影響を与えました。国鉄分割民営化後、余剰の客車を活用した改造計画は進められ、成果を上げる例も多く見られました。特に、JR各社では新たに軽量構造の車両に関する試みが続けられ、気動車の未来に寄与しました。

このように、国鉄キハ08系気動車は失敗とされる側面もありましたが、その技術や知見は後の客車改造気動車の成功へとつながる重要な一歩となったのです。

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