国鉄シキ850形貨車

国鉄シキ850形貨車の概要

国鉄シキ850形貨車は、115トンの積載能力を持つ大型の貨物車で、1976年に日本車輌製造で製造されました。その後、1977年には分割低床式の梁が追加され、85トン積みの貨物車としても利用可能です。この車両は、分割落し込み式のC梁と、分割低床式のD梁の2つの形式があり、用途に応じて梁を交換することができます。

車両の構造

シキ850形は、4台のNC-7形イコライザー式三軸ボギー台車を装備しており、合計12軸の構成となっています。ボギー台車の間に枕梁を渡し、その間に荷受梁が取り付けられる構造で、これにより安定した走行が実現されています。ブレーキは手動で積空の切り替えが可能なKSD方式が採用されており、安全な運行が保証されています。

この貨物車は、積車時65 km/h、空車時75 km/hという高い運行速度を持ち、従来の大物車に比べて脱線対策が施されています。これにより、運行の効率が向上し、荷物の輸送がスムーズに行えるようになっています。

梁の形式と使用

分割落し込み式C梁を装備した状態において、車体全長は22,650 mmで、落し込み部の搭載寸法は長さ6,800 mm、幅2,700 mmです。C梁は圧延鋼を溶接で組み立てたガーダー構造であり、荷受け梁は高い強度と耐久性を持っています。

一方、分割低床式D梁を装備した状態では、荷重が85トン、車体全長が25,550 mmに達します。低床部の有効長さは6,500 mmで、レール面上の高さは630 mmです。D梁もC梁同様に高い強度を有し、取り外した際には貨物を搭載してコロで移動可能な設計が施されています。この低床部分も、中央に640 mmの隙間ができる構造で、取り外し時に便利です。

所有と運行

国鉄シキ850形貨車は、日本通運の所有で、常備駅は末広町駅です。2009年4月の時点で、1両が在籍していることが確認されています。この貨物車は、国鉄の車籍に編入された後、日本貨物鉄道（JR貨物）での運行も行われており、国内輸送に大きく貢献しています。

参考文献

このように、国鉄シキ850形貨車はその特殊な構造と高い積載能力により、重い貨物の輸送を支える重要な存在です。次の参考文献では、さらに詳細な情報が得られます：

• - 吉岡心平『大物車のすべて 中』ネコ・パブリッシング、2007年4月1日。
• - 貨車技術発達史編纂委員会 編『日本の貨車 -技術発達史-』日本鉄道車輌工業会、2009年4月30日。

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