国鉄チム1形貨車 (初代)

国鉄チム1形貨車

国鉄チム1形貨車（こくてつチム1がたかしゃ）は、かつて日本国有鉄道（国鉄）で利用されていた15トン積載の長物車です。この貨車は、長物運搬に特化した構造を持ち、特に鉄桁を運ぶために設計されていました。国鉄の前身である鉄道省においては、この形式が重要な役割を果たしていました。

概要

1930年代前半の日本の鉄道輸送においては、様々なタイプの貨車が活躍していました。その中でも、チム1形は特異な存在でした。1928年5月の車両称号規程の改正では、旧来のケタ20形が「チム1形」に改称され、これにより形式名が変更されました。この変化は、鉄桁運搬車から長物車への区分に伴うものであり、国鉄の貨車の標準化が進む中での出来事でした。

ケタ20形自体は、山陽鉄道が1906年に国有化された際に取得された車両の一部であり、当時の形式は1911年に制定された車両称号規程により正式化されました。実際、ケタ20形は鉄桁運搬が主な役割であり、類似する車両はこの形式に限られました。1928年の車両称号規程の改定によって、鉄桁運搬車の扱いが変わり、その結果、規程は廃止され長物車として再定義されたのです。

車両の詳細スペック

チム1形の貨車は三軸構造を持ち、特に床板の上に回転枕木が設置されている点が特徴的です。この設計により、長物の運搬が効率的に行えるように工夫されています。外観は黒一色で塗装されており、そのシンプルさが運用の実用性を重視した時代の象徴でもあります。

具体的な寸法としては、全長が6,223 mm、全幅が2,311 mm、全高は1,784 mmです。また、自重はおおよそ6.8トンから7.0トンの範囲に収まります。これらのスペックは、チム1形が長物運搬に用いられるため、重さや大きさに対してしっかりとした設計が施されたことを示しています。

運用の終焉

チム1形貨車の運命は、1932年に廃車された最後の1両が現役を退くことで終わりを迎えました。このようにして、形式名の消滅と共にその歴史は終焉を迎えましたが、チム1形の存在は、今なお日本の鉄道貨物輸送の発展の一端を担った記録として残されています。

参考文献

このチム1形貨車についてより詳しく知りたい場合には、以下の文献を参照することが推奨されます。

• - 吉岡心平『3軸貨車の誕生と終焉（戦前編）』（初版）ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 8〉、2000年3月1日。
• - 貨車技術発達史編纂委員会『日本の貨車-技術発達史-』（初版）日本鉄道車輌工業会、2008年3月1日。

また、関連する情報として国鉄の車両形式一覧もご覧になると、他の貨車の形式についての理解が深まるでしょう。

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