国鉄テキ1形貨車 (初代)

国鉄テキ1形貨車について

国鉄テキ1形貨車は、かつて日本の国鉄およびその前身である鉄道省によって使用されていた鉄製の有蓋貨車です。この形式は1910年に製造され、特に工業用生石灰の輸送に特化していたとされています。

概要

国鉄テキ1形は汽車製造によって5両が製造され、当初はホテワ1形という形式名で呼ばれていました。これは1911年に鉄道院の車両称号規程が制定されるまではその名で通っていましたが、その後オテワ1450形に改められました。さらに1928年には、車両称号規程の改正によってテキ1形としての名称が確定し、テキ1からテキ5の5両が存在していました。こうした命名の変遷は、国鉄の貨車の中での地位を示しています。

このモデルは、当時の基準においては非常に大型の貨車であり、同時期に試作されていたボギー無蓋車・ムボ1001形（後にトキ1形へと改称）と共に、貨物輸送の大きな変革を示していましたが、量産には至りませんでした。

デザインと構造

テキ1形貨車は全鋼製の構造を採用しており、側面には鋼製の引戸が2か所存在します。台枠は床下にトラスロッドを備えたプラットフォーム型で設計されています。車両に付属する台車はTR15型で、コイルばねの枕ばねを用いており、その性能は最高運転速度65km/hに達することができます。

荷室の寸法は長さ9,335mm、幅2,426mm、高さ2,349mmで、容積は46.8m³に及びます。車体自体の長さは9,728mm、全長は10,137mm、幅は2,642mm、高さは3,423mm、台車の中心間距離は6,706mm、重さは12.2tから14.1tまでの範囲で変動しました。

利用状況と廃車

テキ1形貨車は、大垣駅および垂井駅に常備され、特に工業用途として利用されていました。特定のユーザー向けに生石灰の輸送に活用されていたとされます。この形式は戦後も一定期間在籍していましたが、1955年3月1日に最後の1両（テキ1）が廃車となり、結果としてこの形式は消滅を迎えることになりました。

参考文献

この情報は、さまざまな資料を基にまとめられています。特に『日本の貨車―技術発達史―』（貨車技術発達史編纂委員会 編、2008年）や『車輛形式図 貨車 上巻』（鉄道省工作局、1929年の復刻版）など、鉄道に関する資料からの引用となっています。これらの文献は、国鉄の貨車に関する長い歴史と技術の進化を理解する上で貴重な資源です。

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