国鉄デハ43200系電車

デハ43200系電車の詳細

デハ43200系は、1922年から1925年にかけて日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省で製造された木造直流用電車のシリーズ名です。この系列は、43200形、43850形、43100形、43550形という形状に分類され、当時の長距離電車運転のために設計されました。この系列は、鉄道省が初めて試みた長距離用電車として、多くの革新技術を導入しましたが、1923年に発生した関東大震災の影響で、運用計画が変更されました。

概要

デハ43200系の導入は、1919年の閣議決定に基づく東海道線の電化計画に起因しています。これにより、東京と国府津間で長距離運転が計画されましたが、震災によりこの計画は中止となり、結果として京浜線への転用が行われました。この系列は鉄道省の長距離用電車の先駆けで、後の32系や80系電車に影響を与えました。

本系列には、新設計の三等制御電動車43200形、三等・郵便・荷物合造車43850形、三等付随車43550形、二等付随車43100形が含まれ、以下の特徴があります：

• - 車体幅を約110mm拡大。
• - 二等車・三等車に初めてセミクロスシートを採用。
• - 三等付随車には初めてトイレを設置。
• - 主電動機の出力を150PSに強化。
• - 主制御器は国産の新設計を採用。

構造

デハ43200系の車両設計は、デハ33500系を基にしており、長形台枠を採用しています。構体はリベットで補強され、各部寸法はメートル法に見直されています。車両の全長は16820mmで、特に車体幅は2700mmに拡大されています。この系列では、木材を主材料とし、さまざまな木材を使って製造されました。また、屋根は二重構造を採用し、通気性を考慮した設計です。

室内構造

室内は、三等車43200形および43550形でボックスシートとロングシートが併用され、二等車43100形ではボックスシートが中心に配置されています。特に、ボックスシートは大型客車の標準と同水準です。43850形の郵便室や荷物室には快適さと機能性が求められ、設置された設備が工夫されています。

主要機器

本系列は、長距離運転に応じて新たに設計された150PS級主電動機を搭載しており、これにより高出力を実現しています。また、制御器も新設計され、電気機器の信頼性が高められています。台車についても、43200形・43850形はTR14を使用し、43100形・43550形は客車用のTR11を採用しています。

運用の変遷

デハ43200系は、関東大震災の影響で長距離運用が変更され、最終的には京浜線で利用されることになりました。その後、近距離用に改造されてデハ63100系になり、一部車両は鋼体化が施されるなど、時代の変遷に伴った適応がなされました。最終的には、鉄道技術の進化に伴い、デハ43200系は国鉄の標準タイプへと受け継がれていきました。

このように、デハ43200系は日本の鉄道史において重要な位置を占めており、その影響は現代の電車にも残っています。

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