国鉄デハ6260形電車

デハ6260形とは

デハ6260形は、かつて日本の鉄道において重要な役割を果たした直流用電車で、その歴史は1909年にまで遡ります。日本国有鉄道の前身である鉄道院や鉄道省に在籍したこの車両は、木製で作られた両運転台式の三等制御電動車として、1909年度に10両が製造されました。この初期のモデルは、その後のホデ6100形やデハ6250形に引き継がれる形となりました。

製造と改名の経緯

デハ6260形は、1911年から1912年にかけて、鉄道院新橋工場でさらに19両が製造され、製造当初はホデ6110形と呼ばれていました。1913年には車両形式称号が改正され、ナデに変更され、最終的には1914年にデハ6260形への改称が行われました。

車体は16m級の木製で、両端に開放式の出入り台を持ち、中央には引戸式の客用扉も追加されていました。前面は半円形で、大きく湾曲したデザインが特徴的です。また、側面窓は一段降下式となっており、屋根はモニター屋根に設計され、通風器も後に装備されました。これらの設計は乗客と運転手の動線の交錯を避けるための工夫が施されています。

足回りと設備

足回りに関しては、初期は板台枠式の台車が採用されていましたが、その後、釣合梁式の標準型台車に交換されました。また、制御装置についても最初の10両は直接式でしたが、その後、総括制御が可能な間接式に変更されています。

電動機は主にシーメンス・シュケルト製と、甲武鉄道から流用されたゼネラル・エレクトリック製のものが搭載されていました。車内の装飾は木板内張りにリノリウムの床、モケット張りの座席を備えた、比較的快適な仕様でした。

標準化改造とその後の運命

デハ6260形には、その後の製造された標準型と形状が異なるため、いくつかの標準化改造が施されました。1919年から1921年にかけて、妻面の角型化や引戸の追加、中央扉の踏み段撤去が行われました。

しかし、運命は厳しく、1916年には新宿電車庫の火災によって5両が焼失し、1923年の関東大震災では2両を失いました。これによって多くの車両が廃車となりました。

残存車両は1924年から1925年にかけて目黒蒲田電鉄へ譲渡されました。譲渡後も、数両は他の鉄道会社に転売され、最終的には日立電鉄や東京急行電鉄へと引き継がれました。6373号は1970年代まで運行されるという、驚くべき命運をたどったのです。

結論

デハ6260形は、その特異なデザインと長い運行歴史を持つ貴重な存在であり、多くの人々に記憶されています。日本の鉄道史において重要な一ページを飾ったこの電車は、今なお多くの鉄道ファンに愛されています。私たちがこのような歴史を知り、その足跡をたどることができるのは、先人たちが築いた鉄道の恩恵のおかげです。

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