国鉄モハ12形電車

国鉄モハ12形電車：多様な出自を持つ旧形電車

モハ12形は、かつて日本国有鉄道（国鉄）で活躍した旧形電車です。1953年（昭和28年）の車両形式称号規程改正によって、17メートル級の車体を持つ両運転台式3扉ロングシートの制御電動車に与えられた形式名です。この改正により、既存のモハ34形14両がモハ12形に改められ、その後も改造によって車両が増え、最終的に34両がモハ12形として運行されました。

しかし、モハ12形は単一の設計から生まれた電車ではなく、その出自は非常に多様です。様々な旧型車両が改造によってモハ12形に生まれ変わったのです。その内訳を見ていきましょう。

1. 元モハ34形（1933年製）からの改造

12000～12004の5両は、1933年（昭和8年）製のモハ34形を改造した車両です。これはモハ12形となった最も古いグループであり、国鉄33系電車の系譜に連なります。

2. 元モハ31形からの改造

12010～12018の9両は、1950年（昭和25年）にモハ31形を改造して製造されました。モハ31形は、国鉄31系電車に属する車両で、両運転台式に改造されたものがモハ12形として生まれ変わっています。

また、12050～12055の6両は、クモハ11形（200番台）に改造されていた旧モハ31形を更に改造した車両です。

3. その他の改造車両

12019～12027の9両は、1958年（昭和33年）にモハ31形からモハ11形（200番台）に改造された車両を、更にモハ12形に改造したものです。

12030～12032の3両は、1958年（昭和33年）にモハ50形を改造したモハ11形（400番台）をベースに、モハ12形に改造されました。

12040は、1960年（昭和35年）にモハ30形から改造されたクモハ11形（100番台）を両運転台式に改造した車両です。

そして12041は、1987年（昭和62年）に牽引車であったクモヤ22形（元モハ10形）を改造して旅客用車両とした珍しい事例です。主にイベント用として使用されていました。

このように、モハ12形は様々な形式の車両を改造して作られた、いわば寄せ集めの電車でした。それぞれの改造経緯を紐解いていくと、国鉄車両の変遷の一端を垣間見ることが出来ます。

形式称号の変更

1959年（昭和34年）6月の車両形式称号規程改正により、制御電動車に「クモ」の記号が追加されました。そのため、モハ12形はクモハ12形に改称されました。

モハ12形は、その複雑な出自と歴史が興味深い、国鉄を代表する旧型電車の一つと言えるでしょう。 様々な車両の技術や歴史が凝縮された、まさに国鉄の技術力の粋を集めた車両群であったと言えるのではないでしょうか。

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