国鉄レサ5000形貨車

国鉄レサ5000形貨車の概要

国鉄レサ5000形貨車は、日本国有鉄道（国鉄）によって1968年に新造された冷蔵貨車です。主に冷凍・冷蔵輸送、特に鮮魚の運搬を目的として設計されました。日本国内では、鮮魚の輸送は重要な役割を果たしており、特にトラック輸送の増加に対抗する形で、効率的な鉄道輸送が必要とされました。

開発の背景

1966年に特急鮮魚貨物列車が導入されたことにより、西日本からの鮮魚輸送のスピード化が図られました。しかし、東京方面への鮮魚が多く運ばれる東北地方からの物流も無視できませんでした。そのため、一般貨物列車の速度（75 km/h）と特急貨物列車の速度（100 km/h）の中間にあたる85 km/hの速度帯での効率的な輸送を実現するための需要が生まれ、レサ5000形が開発されることとなったのです。

日立製作所で製造されたこの貨車は、全長13,700 mm、全幅2,777 mm、全高3,657 mmというサイズで、最大荷重は24トンです。断熱材としてはガラス綿を使用しており、車室内部は前後に仕切られ、各区画にはそれぞれ扉が設けられています。これにより、12トンずつを積載可能となっています。

構造と特徴

レサ5000形は、レサ10000形と外見上ほとんど同じ設計を採用しています。ただし、走行装置には違いがあり、レサ10000系が高速度運行に対応するため空気ばねを使用していたのに対し、レサ5000形は比較的シンプルなコイルばね台車を採用しています。この設計により、片側に荷重がかかりもう一方が空の場合でも安定した走行性能が確保されています。

さらに、この貨車が使用したTR216形台車は、元々は別の貨車用に開発されたもので、特定の条件下での走行性能を向上させるために調整が行われています。

運用の歴史

レサ5000形は、レサ10000形と同様に、鉄道車両の検査や運用体制が客車と同じ形で組まれました。運用開始にあたっては、1971年に八戸駅へ改称される前の尻内駅が常備駅として利用されました。ここでは、尻内客貨車区が検修を担当しています。

1968年10月に運行が開始された「東鱗1号」は、鮫駅から東京市場駅までの輸送時間を38時間30分から14時間40分に短縮するなど、鮮魚輸送の効率化に貢献しました。しかし、発駅の数量が多すぎると運行効率が悪くなるため、次第に営業所の集約が進められました。

しかし、昭和50年代後半になると、鮮魚輸送の需要の減少が顕著になり、1984年2月のダイヤ改正により「東鱗1号」は運行終了が決まりました。これにともない、レサ5000形も同年中に廃車となり、形式消滅に至りました。

結論

国鉄レサ5000形貨車は、冷蔵車として鮮魚輸送の重要な役割を果たしてきましたが、時代の変化とともに必要とされなくなっていきました。その技術的な革新や運用の歴史は、日本の鉄道輸送の変遷を示すひとつの例として、現在でも多くの鉄道ファンや研究者に注目されています。

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