国鉄レム400形貨車

国鉄レム400形貨車の詳細

概要

国鉄レム400形貨車は、1960年から1963年の間に日本国有鉄道（国鉄）によって製造された703両の冷蔵車です。本形式は、冷蔵と有蓋の二つの機能を兼ね備えた貨車として、過去の試みの反省を生かした改良が施されています。国鉄は以前、レム1形という冷蔵車の製造に挑んだものの、保冷性能の不足からその試みは失敗に終わりました。この経験を踏まえて新たに開発されたのが、レム400形です。

設計と特徴

初めて導入されたレム400形は、試作車として1960年に3両（レム400、レム401、レム402）が日本車輌製造によって製作されました。これらの試作車は、従来の有蓋車に比べて約1トン増の荷重15トンを実現するため、軽量化を図った設計となっています。全長は8,600mm、全幅は2,739mm、全高3,695mmというサイズが特徴です。

冷蔵車の重要な要素である扉については、試作車ごとに異なる方式が実験されました。レム400は引き戸、レム401とレム402は開き戸を採用しましたが、開き戸は保冷性の面で優れていたものの、製造の効率や取り扱いの容易さから引き戸が量産車に選ばれました。その結果、1961年から1963年にかけて新三菱重工業と飯野重工業で700両が製造され、これらはレム410からレム1109までの番号が振られました。

性能と課題

レム400形は、長年使用されてきた有蓋車よりも保冷性能が向上しましたが、従来の冷蔵車には及ばず、荷主からあまり人気を得られませんでした。その結果、レ12000形やレム5000形の冷蔵車が活発に使用される中で、この形式はしばしば留置される事態に直面します。また、引き戸に採用した気密装置が故障しやすいという問題も多く、信頼性に疑問を持たれることがありました。さらに、同時期に試作された冷蔵コンテナの方が保冷性能が優れているとの試験結果もでており、本形式に対する評価は厳しいものとなりました。

改造と廃止

こうした理由から、1967年には早くも廃車方針が決まり、1969年からはワム400形への改造が開始されました。ワム400形は、元のレム400形から引き戸密封装置を外し、通風孔を開放した状態に固定され、断熱材もそのまま使用されました。塗装の色も黒に変更され、冷蔵の機能が失われた形で新たな貨車として生まれ変わりました。

初めての試験的改造では、1969年に10両（ワム400 - ワム409）が幡生工場で製造され、その後1970年には量産化が進められました。結果的に、幡生工場で35両、若松工場で65両が改造されてワム410からワム509までの番号が付けられました。改造されなかったレム400形は1974年までに全廃され、ワム400形も1979年にはすべて廃止される運命を辿りました。

参考文献

• - RM LIBRARY 28 「国鉄冷蔵車の歴史（下）」 渡辺 一策
• - 『日本の貨車-技術発達史-』（貨車技術発達史編纂委員会編著、社団法人 日本鉄道車輌工業会刊、2008年）

国鉄レム400形貨車の歴史は、多くの挑戦と技術革新に満ちており、その後の貨物輸送における冷蔵車の発展に大きな影響を与えました。

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