国鉄ワム3500形貨車

国鉄ワム3500形貨車

国鉄ワム3500形貨車は、かつて日本国有鉄道（国鉄）で運用されていた有蓋貨車で、1928年に導入されました。この形式は、当初1917年から製造されたワム32000形を元にしており、鉄道の貨物輸送を支える重要な役割を果たしていました。

概要

この貨車は、1928年の車両称号規程の改正に伴い、ワム32000形から名称が改められました。ワム32000形そのものは、1917年から1926年までの間に製造された11,873両にも及ぶ貨車のシリーズで、これらは主に日本車輌製造などから供給されていました。ワム3500形は、その中から11,705両が改称されたものであり、他にもいくつかの私鉄からの車両買収によって構成されています。最終的にはワム15290まで存在しました。

この車両のデザインは過去のモデルに似ており、外部に鋼製の柱を立て、木製の側板が使用されました。特徴的なのは、前のモデルから車軸の構造を変更したことです。荷役用の引き戸は、最初は木製でしたが、後期の製造車両では鋼製に置き換えられました。また、側板は補強用の鋼板が追加されることが一般的でした。床と屋根は木製で、通風器が設置されています。台枠は鋼製で、最高速度は65 km/hに設定されていました。

数値データ

ワム3500形の諸元は以下の通りです。全長は7,830 mm、全幅は2,430 mm、全高は3,730 mm、荷室の内寸は長さ6,960 mm、幅2,300 mm、高さ2,425 mm、容積は約38.8 m³に及びます。また、自重は8.9 t、軸距は3,960 mmでした。

戦争とその後

1937年から1940年にかけて約2,500両が陸軍の要請により、中国大陸に転用されました。戦争後には、約9,000両が日本国内に残存し、広く利用されましたが、1965年頃から徐々に老朽化が進み、本格的な廃車が始まりました。1968年には最高速度の改造対象から外れ、特に北海道では「ロ」車として管理されました。

形式間改造

ワム3500形は、戦災による損傷から復旧する際に、無蓋車トム25000形に改造されることもありました。戦中には数両がこのような改造を受けた他、改造車両としてヒ300形やヒ600形、さらにはサ100形、エ500形なども存在します。

1930年代後半から1960年代にかけて、新たな用途に応じてさまざまな改造が行われたことは、この貨車の歴史の重要な部分です。有蓋車の雨漏り防止のためにスム4500形への改造や、家畜輸送用のカム1形への改造も行われました。これらの改造によって、ワム3500形は時代と共に柔軟に対応し続けました。

譲渡と保存

一部のワム3500形は、他の鉄道会社に譲渡され、新たな役割を果たしました。特に、三井芦別鉄道や西武鉄道などで再利用され、転用された車両も存在しました。現存するモデルは、JR西日本の研修センターに保存されていたものが京都鉄道博物館に移された例もあり、今も多くの鉄道ファンに親しまれています。

このように、国鉄ワム3500形貨車は日本の鉄道史における重要な役割を果たし、長い航跡を残しました。その設計や運用の履歴は、鉄道技術の進化を物語っています。

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