国鉄ワム50000形貨車

国鉄ワム50000形貨車

国鉄ワム50000形貨車は、前身の鉄道省が製造した15トン積みの二軸有蓋貨車です。この貨車は、1938年（昭和13年）から量産が開始されていた鋼製のワム23000形の改良版として、1940年（昭和15年）から生産が行われました。日中戦争の影響により、戦時型として設計されたこの貨車は、鋼材の節約を目的に車体の外板を省略し、鉄柱と木材の組み合わせで構成されました。引戸や下回りの部分は従来のワム23000形と同様の設計です。

1943年（昭和18年）までに製造された台数は3,565両に達し、終戦後の1946年（昭和21年）にはさらに80両が追加され、総数は3,645両に及びました。この貨車の製造は、日本車輌製造、川崎車輛、汽車製造、新潟鐵工所、田中車輛の5社によって行われ、番号は1943年まで製造されたものがワム50000からワム53564、1946年製造のものがワム53565からワム53644とつけられました。

走行装置と改造

初期の走行装置は12トン用の長軸を用いた一段リンク式でしたが、1956年から1957年にかけて、90両が新たに車体を鋼化し、二段リンク式に改造され、ワム90000形へ編入されました。残りの車両については、1963年（昭和38年）から雨漏り対策として側面や妻面の木部を耐水合板に交換する工事が進められ、約半数の車両が合板張りにされました。また、3,223両に対しても二段リンク化改造が行われ、多くの車両が1968年のダイヤ改正後も使用され続けました。しかし、1970年代前半から次第に廃車が進み、1985年には全車が引退しました。

戦時中の増積とその後

1943年からは貨車の戦時増積が実施され、1960年（昭和35年）には輸送力不足を解消するために、設計強度に余裕のある物流対象の3種類の15トン積み有蓋車に2トンの増積が許可されました。この際、荷重は15トンと17トンの二重表記として、特別な符号「オ」が付与され、「オワム」として表示されました。その後、17トン積みのワラ1形が登場したため、1966年にはこの措置は廃止されました。

派生形式

この貨車からは、いくつかの派生形式が生まれました。まず、ワム1900形は1944年に台湾総督府鉄道のために製造されましたが、戦局が厳しくなったため、日本国内に残された分が終戦後に国鉄に転用されました。また、1968年時点での二段リンク化改造を受けた貨車たちは、大きな改造は行われずに利用されていました。

さらに、ワム150000形は、1968年の時点で二段リンク化改造を受けなかった26両を形式変更したもので、北海道専用で使用されましたが、1970年には全廃となりました。

また、ヤ90形は1961年にワム50000形をベースに改造製作された積付試験車で、荷崩れを観察するために特別な設計が施されました。1984年にはこの試験車も廃車となりました。

最後に、伊那電気鉄道ワム400形や名古屋鉄道ワム5200形など私鉄での同形式の運用も見られました。これらの車両も国鉄に編入されたり、事故救援車として使われたりしましたが、最終的には時代と共に役目を終えました。

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