国鉄ワム70000形貨車

国鉄ワム70000形貨車の概要

国鉄ワム70000形貨車は、日本国有鉄道（通称：国鉄）が1958年から1960年にかけて製造した有蓋貨車です。積載能力は15トンであり、構造上の工夫により荷役作業がスムーズに行える設計がなされています。この貨車は、従来のワム90000形を元に新たな輸送方式に対応する形で開発され、520両以上の製造がされています。

設計と特徴

ワム70000形は、周囲の鉄道環境が変化する中で、特にパレット荷役が可能となるように設計されています。そのため、フォークリフトを用いて物品の載せ降ろしが簡単できる両側開き扉が採用されており、開口幅は1,700mmから2,300mmに拡張されています。

車体構造は全鋼製で、強度と軽量化のバランスを考慮しており、屋根は山型の形状で、側扉は両開きのデザインが施されています。堅牢な構造となるようにプレス加工鋼板を使用し、内部の移動空間は15.9㎡、内容積は38.1㎥となっています。また、総重量はおおよそ10トンです。

製作方法も工夫されており、ブロック組立方式が採用されています。この方式では各部品を個々に溶接し、後に組み立てていくことで効率的な生産が可能となっています。

ブレーキ装置には、自動空気ブレーキが搭載されており、これにより最高速度75km/hでの運用が可能です。セキュリティ面にも配慮され、留置ブレーキとして足踏み式ブレーキテコが設けられています。

運用の変遷と役割

国鉄ワム70000形貨車は、製造当初からパレット荷役の需要が高い路線に配属され、特に「急行車扱列車」として特定の運用が行われました。これにより高速度での運用が可能となり、一部の車両は急行列車専用としても利用されていました。

しかし、1961年に後続のワム60000形が追加されると、急行列車の専用運用は次第に縮小していきました。その後は、他の貨車と共に一般の貨物列車としての運用に移行しました。また、国鉄工場での部品配送にも使用される車両が存在し、これらの車両は特別な帯を付けて識別されました。

1984年に国鉄の運用体系が見直されることになり、ワム70000形も運用停止の措置を受けました。この改正により多くの貨車が余剰となったため、ワム70000形も1990年代初頭までに全車が除籍されることとなりました。結果として、JR移行まで、全車が引退しました。

まとめ

国鉄ワム70000形貨車は、その設計と製造方法、運用の影響を受けながら、日本の鉄道輸送において重要な役割を果たしました。特にパレット荷役に対応した設計は、効率的な物品輸送のために大きく貢献したことが評価されています。この形式の貨車が果たした役割は、今後の鉄道貨物運送の在り方に影響を与えたと言えるでしょう。

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