自動空気ブレーキ

自動空気ブレーキの概要

自動空気ブレーキは鉄道車両で広く使用されるブレーキ方式の一つで、主に空気圧を利用した指令式のブレーキシステムです。このブレーキ方式は、列車の各車両に連なる貫通ブレーキとして機能し、ブレーキ管（BP）を介して連動します。特に、電源を必要とせず、列車が分離した際には自動的にブレーキが働くことから「自動空気ブレーキ」と名付けられました。

従来は直通空気ブレーキや蒸気ブレーキ、真空ブレーキなどが使用されていましたが、直通空気ブレーキには大きな欠点がありました。それは、ブレーキ管が損傷したり外れたりした場合、車両にブレーキ力がかからなくなってしまう点です。これを解消するために、アメリカの発明家ジョージ・ウェスティングハウスによって開発されたのが自動空気ブレーキです。現在では、世界中の鉄道において客貨車や電車の基本的なブレーキシステムとして広く導入されています。日本では新規製造される電車に関しては常用ブレーキとしての採用は少ないものの、非常ブレーキにはその原理が多く使われています。

特徴と機構

自動空気ブレーキの最大の特徴は、低圧指令が高圧制御につながる逆比例特性をもつ流量増幅弁を使用している点です。この流れは次のように運用されます：
1. ブレーキ管に圧縮空気を常時加圧します（約490 kPa）。
2. ブレーキ時にブレーキ管の圧力を減圧します。
3. そして制御弁を介してブレーキシリンダーへ圧縮空気を供給します。

この仕組みにより、日常運転と非常時に対応するための急ブレーキ作用が可能になります。また、自動空気ブレーキは、通常のブレーキで常時加圧制御がされるため、列車が分離したなどの異常があった場合にもブレーキが自動的にかかるというフェイルセーフ機能を実現しています。

このブレーキ方式は、制御と動力供給を兼ねた空気配管システムを利用しており、運転士が任意に各位置（「緩め」「運転」「保ち」「抜取」など）を操作してブレーキを使いこなします。

ブレーキ弁と動作配管

機関車において自動ブレーキを制御するための主要な装置は、自動ブレーキ弁です。この弁には、圧力の変化に応じてさまざまな動作位置があります。たとえば、運転位置にあるときは、被牽引車両に圧縮空気を供給し、ブレーキをおさえる役割を果たします。

制御弁の種類

自動空気ブレーキに用いられる制御弁には、二圧力式制御弁と三圧力式制御弁があります。二圧力式制御弁は、主に古いシステムで、信頼性や保守性の問題がありましたが、三圧力式に移行することでこれらの問題が改善され、より効率的で信頼性の高いブレーキシステムが実現されました。

電磁自動空気ブレーキ

自動空気ブレーキの進化の一例に、電磁自動空気ブレーキがあります。これは、空気圧指令式ブレーキに電気信号による減圧指令を加えることで、ブレーキ管内の圧力変化を迅速に行うシステムです。これにより、ブレーキの応答性が向上し、車両間のブレーキ力の均一化が図られています。

履歴と今後の課題

自動空気ブレーキは1872年にジョージ・ウェスティングハウスによって初めて導入され、その後多くの改良が施されながら今日に至ります。今後は、さらなる技術革新やブレーキシステムの安全性向上に向けた研究が期待されています。

このように、自動空気ブレーキは鉄道における重要な技術であり、運転の安全性と効率性を向上させる要素として欠かせない存在です。

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