国鉄110形蒸気機関車

110形蒸気機関車の概要

110形蒸気機関車は、かつて日本国有鉄道の前身、鉄道院および鉄道省に在籍していた貴重な機関車です。この機関車は、1872年に日本で初めて鉄道路線が開通した際、イギリスから輸入された5つの形式のうちの1つであり、1両のみが日本に運ばれました。製造は1871年に行われ、ヨークシャー社によるもので、これは日本に存在する唯一のヨークシャー製蒸気機関車でもあります。

構造と特徴

110形の種類は、動輪の直径が標準で1,219mm（後に1,245mmに改訂）で、車軸配置は2-4-0（1B）で設計されています。2気筒単式の飽和式タンク機関車としても知られ、輸入された10両の中でも最小のサイズを誇ります。その弁装置にはスチーブンソン式を採用し、安全弁はサルター式を使用しました。また、ボイラーの中央上部には蒸気ドームが備わっています。

運転台は前方に風除けが設けられ、屋根は4本の細鋼管で支えられています。運転台の後方は開放部であったものの、その後に丸窓付きの風除けが取り付けられました。なお、水タンクは初期には低い設計でしたが、1887年から1892年にかけて高さを5インチほど追加されました。

運転の歴史

この機関車は輸入後、最初は「10」という番号で京浜間で使用されましたが、性能はあまり良好ではなかったとされています。1873年には当時の汽車監察官から不良な評価を受け、一時はその評価が原因で、運転の場での扱いは制限されることとなりました。臼井茂信氏は、技術者たちが熟練していた背景から、組み立ての不備や調整のミスが問題であったのではないかと考察しています。

この機関車は様々な改番を経て1876年には番号「3」に改編され、1880年にそして1885年に京浜間に戻されることになりました。最終的には1898年にA2形に改められ、以降も当時の鉄道網にさまざまな形で関与し続けました。

保存状況とその後

大正時代には「日本最古の機関車」としての評価が高まり、1924年に廃車となってからは、大宮工場内の保存展示に移りました。内部構造を学習したい職員や見学者のために、工場側は車体の一部を切開して展示しましたが、太平洋戦争中に展示場が焼失しました。そのため、戦後は「汽車の街」という商業エリアのシンボルとして用いられましたが、趙が進む中で再び大宮工場に戻されました。

1950年代から1960年代にかけて、個体の重要性が認識され、1961年に鉄道記念物として指定されました。その後、青梅鉄道公園に移され、静態保存されることになりました。2018年には修復計画が開始され、2019年に展示が終了し、最新の設備を用いて修復が施されました。2020年には横浜市に移設され、従来の部分を参照できるように再整備が行われ、今なお訪問者に見学されています。

結論

110形蒸気機関車は、日本の鉄道史において特に重要な位置を占めています。約60年間にわたり多くの経歴を持ち、運用され続けた本機は、現在でも多くの人々にその歴史を伝える存在となっています。今後もその重要性が再確認されることが期待されます。

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