国鉄1290形蒸気機関車

1290形蒸気機関車

概要

1290形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院に在籍したタンク式蒸気機関車です。この機関車は1875年と1882年に、鉄道建設に必要な資材運搬のためイギリスから輸入されました。計3両の蒸気機関車が日本に導入され、1873年と1881年に製造された2つの系列が存在します。特に1873年製の2両は官設鉄道で使われ、1881年製の1両は日本鉄道に譲渡され、建設工事に使用されることとなります。さらに、この1両は埼玉県川口市で組立が行われたため「善光」という愛称がつけられています。

また、1873年製の2両については、製造番号が異なっている理由に関しては諸説あります。そのうちの一説は、造幣寮からの注文であったというものや、オリジナルなヨークシャー社の製品であったとの見解もあります。ただし、真相については確認が取れていないため、不明な点が多いと言えます。

構造

1290形の動輪直径は914mmで、車軸配置はCタイプ（3軸動輪を特徴とし、先従輪なし）です。タンク式蒸気機関車であるため、ボイラーの上部には水槽が設置されており、この形状はサドルタンクと呼ばれます。また、台枠の内側にはシリンダーがあり、弁装置にはスチーブンソン式が用いられています。外部からは動輪を連結する棒が見えるものの、主連棒などの内部機構は隠されており、独特な美しさを持っています。

運転室は非常に簡素な造りで、屋根は鋼管によって支持され、当初は風除けもなかったのですが、後に風除けが取り付けられました。官設鉄道が利用した2両に関しては運転室が拡張され、煙室扉も一般的な左右開きに改造されました。

主要諸元

• - 全長: 6,991mm
• - 全高: 3,150mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 車軸配置: 0-6-0(C)
• - 動輪直径: 914mm
• - 弁装置: スチーブンソン式基本型（1290, 1291）、ジョイ式基本型（1292）
• - シリンダー寸法: 304mm × 432mm
• - ボイラー圧力: 8.4kg/cm²
• - 機関車運転整備重量: 16.81t
• - 水タンク容量: 1.84m³
• - 燃料積載量: 0.56t

運転履歴と経歴

初めて日本に到着した1875年の2両は、番号22と24が付与され、主に西部地域の建設工事に活躍しました。その後1882年に到着した日本鉄道の1両は25番が付けられ、愛称「善光」が与えられるなど、多くの工事に使用されました。官設鉄道の2両は1885年にH形に類別され、1898年にはB1形とされたのち、多くの地域で建設工事のために活躍しました。

日本鉄道の25号は、1894年には改番され、M形系列に格上げされました。さらに、日本鉄道が国有化されると、官設鉄道の機関車は1290形として再編成されました。

保存

1292号は1923年に廃車となりましたが、その名は多くの人々に知られており、最初は東京鉄道教習所に保管され、1942年には新しく設立された鉄道博物館に移管されました。そして、1959年には鉄道記念物として指定され、2007年に埼玉県の鉄道博物館に移され、現在も展示されています。

このように、1290形蒸気機関車は、日本の鉄道歴史における重要な存在であり、その特異な特徴と長い運用履歴は多くの人々に影響を与え続けています。

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