国鉄1350形蒸気機関車

国鉄1350形蒸気機関車について

国鉄1350形蒸気機関車は、日本国有鉄道の前身にあたる鉄道省に属していたタンク式蒸気機関車の一種です。元々は1897年に阪鶴鉄道のためにアメリカのピッツバーグ・ロコモティブ・アンド・カー・ワークスで製造されました。車軸配置は0-6-0(C)で、2気筒の単式飽和式機関車です。製造番号は1702から1704の3両があり、国鉄1350形はその中の1両、つまり番号1350にあたります。

歴史的背景

国鉄1350形は、1904年に阪鶴鉄道の他の2両が高野鉄道に移籍する際に国有化された唯一の機体です。国有化は1907年に行われ、その後は1909年に新たに定められた車両形式称号規程により1350形に改名されました。

この機関車は国有化後も当初の所属路線で活躍しましたが、1917年には秩父鉄道へ譲渡されその運用が続きます。しかし、1922年に秩父鉄道が電化されたことで、1350形は使用されなくなり、三河鉄道に譲渡されました。

高野鉄道に移籍した2両についてもその後の変遷が見られます。1両は1922年に南海鉄道の合併前に再び三河鉄道へ譲渡されB形に編入、一方、残る1両は高野山登山鉄道を経て南海鉄道に引き取られましたが、最終的には庄川水力電気に買い取られダムの建設資材運搬用に利用されることになります。これも後に新宮鉄道に譲渡され、国有化後は紀勢中線で運用され続けました。

技術的な特性

1350形蒸気機関車の主要な諸元をまとめると、全長は8604mm、全高3388mm、全幅2337mm、軌間は1067mm、動輪直径は1067mmとなっています。また、シリンダーの直径は330mmで行程が508mm、ボイラー圧力は9.8kg/cm²です。火格子面積は0.74m²、全伝熱面積は60.7m²となり、機関車の性能としてシリンダ引張力は4,320kgに達します。

終焉

最終的に国鉄1350形はその運命を全うしましたが、1934年には三河鉄道が電化されたことで機能を失いました。残された3両はそれぞれ異なる道を辿り、最終的には1955年まで流山鉄道で使用された機体も存在します。1350形はその長い歴史において、様々な鉄道を経て多くの人々に貢献しました。

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年、鉄道図書刊行会刊
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社刊
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年、交友社刊
• - 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 I」1984年、プレス・アイゼンバーン刊
• - 岸由一郎「失われた鉄道・軌道をたずねて 庄川水力電気」鉄道ピクトリアル1997年1月号(No.631)

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