ピッツバーグ・ロコモティブ・アンド・カー・ワークス

ピッツバーグ・ロコモーティブ・アンド・カー・ワークス

ピッツバーグ・ロコモーティブ・アンド・カー・ワークス（Pittsburgh Locomotive and Car Works）は、1865年にアンドリュー・カーネギーとT・N・ミラーによって設立された、鉄道用機器を製造する会社です。本社はアメリカ合衆国ペンシルベニア州ピッツバーグに置かれていました。

1867年4月に最初の機関車を製造して以来、1870年代初頭には工場長兼ゼネラルマネージャーであったダニエル・A・ワイトマンの指導のもと、大型蒸気機関車の製造で知られるようになりました。ピッツバーグ社製の機関車は、その卓越した品質から、インドや日本を含む世界各地へ輸出されました。

1901年、ピッツバーグ社は他の7社とともにアメリカン・ロコモティブ（ALCO）に統合されました。統合までに2400両以上の機関車を製造しましたが、1919年には工場が閉鎖されました。

日本との関わり

ピッツバーグ社が日本市場に進出したのは1896年（明治29年）のことです。太田鉄道（後の2代目水戸鉄道）に納入された車軸配置0-6-0(C)形のタンク機関車2両（後の鉄道院1690形）がその最初でした。

機関車研究家の臼井茂信は、ピッツバーグ社製の機関車の品質を、ボールドウィン社製を上回り、スケネクタディ社製に迫るものと評価しています。これは、アメリカの鉄鋼王カーネギーの系列会社であったため、高品質な鉄鋼が供給されたことが大きな要因です。形態的な特徴としては、動輪スポークの根元に水かきと呼ばれる補強が付いている点や、鉄製の運転室が挙げられます。独特で洗練されたデザインも特徴の一つでした。

ピッツバーグ社製の機関車は、官設鉄道には直接納入されませんでしたが、日本に輸入された代表的なものとして、後の鉄道院3400形となったタンク機関車があります。この機関車は、南海鉄道、播但鉄道、豊州鉄道、横浜鉄道に1896年からALCO統合後の1909年までに計23両が導入されました。デザインラインは基本的に統一されています。

また、変わり種としては、未成となった伊賀鉄道向けに製造され、阪鶴鉄道と尾西鉄道に入った後の鉄道院2850形があります。この機関車は、ピッツバーグ社製の標準的なデザインとは大きく異なり、ブルックス社のデザインに類似しています。

テンダー機関車では、1897年（明治30年）に京都鉄道へ入った後の鉄道院5200形2両が最初です。京都鉄道では延伸計画の頓挫により増備は行われませんでしたが、関西鉄道では1898年（明治31年）に2シリンダ複式の早風クラス（後の鉄道院6500形）を6両、1906年（明治39年）に3両を増備しました。この増備車はALCO成立後の発注でしたが、ピッツバーグ社の仕様が踏襲されています。

一方、同時期に発注された単式の追風クラス（後の鉄道院6000形）には、ピッツバーグ社の特徴がほとんど見られず、翌年に官設鉄道に導入された後の鉄道院9050形も同様に、ALCO成立の中核となったスケネクタディ社の影響が強く見られます。

関連項目

スケネクタディ・ロコモティブ・ワークス
ロジャーズ・ロコモティブ・ワークス
ブルックス・ロコモティブ・ワークス
Category:ピッツバーグ製の蒸気機関車

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