国鉄230形蒸気機関車

国鉄230形蒸気機関車について

国鉄230形蒸気機関車は、日本の鉄道史において重要な役割を果たした歴史的な存在です。この機関車は、日本国有鉄道の前身である逓信省鉄道作業局から発注され、初めて本格的に量産された国産タンク式蒸気機関車です。設計にあたり、イギリスのA8形を参考にしつつも、国内の条件に合わせて改良を加えたことが特徴です。

概要と製造

230形は、車軸配置2-4-2（1B1）を持つ2シリンダ単式の飽和式タンク機関車です。動輪の直径は1,245 mmで、イギリスのA8形の1,321 mmに対してやや小さく設定されています。1902年から1909年の間に総計41両が製造され、38両が官設鉄道に納入されました。そのほか、北越鉄道や北海道鉄道、高野鉄道にもそれぞれ1両ずつが納入されています。特に官設鉄道には、A10形として38両が納入されました。

車両の詳細

例えば、1903年から1909年の間に製造された車両の詳細は以下の通りです：

• - 1903年製：892 - 897（230 - 235）
• - 1904年製：898 - 901（236 - 239）
• - 1905年製：902 - 905（240 - 243）
• - 1906年製：906 - 909（244 - 247）
• - 1907年製：910 - 917（248 - 255）
• - 1908年製：918 - 922（256 - 260）
• - 1909年製：923 - 929（261 - 267）

ランボード上にあった砂箱の位置が前期形から後期形で変わり、そのため型式の形状が若干異なります。また、ボイラーの中心高さが26 mm高くなるなど、設計上の進化も見られました。特に、北海道鉄道向けに納入された車両は異なる軸距を持っていましたが、これは特別な仕様によるものとされています。

使用と運行

国鉄230形は、主に関西地域や中部地方で使用され、山陽本線や北陸本線などで活躍しました。また、北海道鉄道に納入された2両は、のちに樺太庁鉄道に貸し出されるなど、広範囲で運用されました。1937年には、実際に230形を見た鉄道史研究家の川上幸義によって、保存状態や運行の様子が記録されています。

廃車と譲渡

230形は、1930年代から廃車が進み、1945年時点では使用されている残存車両が20両に減少していました。その後も、民間への払い下げが行われ、1934年から1952年にかけて輸送技能の多様性を持ち続けた機関車が民間に譲渡されました。例えば、231号は浅野セメントに、240号は豊国セメントに譲渡されており、他の車両も様々な企業へと引き渡されました。

現在の保存状況

現在も230形の2両は静態保存されており、特にその時代の技術を感じさせる貴重な存在です。また、台湾の同系機（BK10形）の1両も保存されていることから、国際的な鉄道技術の交流を示唆しています。

国鉄230形蒸気機関車は、日本の鉄道史の中で重要な位置を占める機体であり、その存在は国産蒸気機関車の技術革新の象徴でもあります。

もう一度検索