国鉄2800形蒸気機関車

2800形蒸気機関車について

2800形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道院および鉄道省が所有していたタンク式の蒸気機関車です。この機関車は、スイスのスイス・ロコモティブ・アンド・マシン・ワークス（SLM）から輸入されたもので、車軸配置は2-6-0（1C）に分類されるタイプです。1897年と1899年の二度にわたり、奈良鉄道により計7両が輸入されました。当初、これらは「6 - 12」という形式名で呼ばれていましたが、1905年に関西鉄道に譲渡された後、1907年には国有化され、2800形（2800 - 2806）と改名されました。

概要と外観

2800形の機関車は、全体としてドイツのデザインに沿ったスタイルを持ちつつも、日本では少し質素な印象を与えます。ボイラーは先輪の上まで長く伸びており、先輪の後方にはシリンダーと煙突が配置されています。この配置により、全体として独特のバランスを持つ形状になっています。また、歩み板は前端と後端の梁に沿って一直線に通されていて、前面の煙室扉は中央のハンドルに向かって斜めに取り付けられているため、三角形の形状を描いています。

主要スペック

この機関車の主要な寸法や性能は次の通りです：

• - 全長：9,011mm
• - 全高：3,480mm
• - 軌間：1,067mm
• - 車軸配置：2-6-0 (1C)
• - 動輪直径：1,219mm
• - シリンダー（直径×行程）：381mm×559mm
• - ボイラー圧力：10.0kg/cm²
• - 火格子面積：1.11m²
• - 機関車運転整備重量：36.69t
• - 機関車空車重量：29.30t

これらの性能からも、その性能は十分であったことが窺えます。

使用と経歴

国有鉄道における2800形の運用成績は非常に良好で、多くの機体が戦後まで現役で使用されていました。国有化された後、機関車は福知山、姫路、亀山などに分散配置されましたが、1926年には高知に集められ、土讃線が完成する1935年まで主力として活躍しました。その際、側水槽の容量を増加させ、既存の水槽に追加する形で改造も行われました。

機関車の除籍は1937年からスタートし、2800形と2805形は播丹鉄道に譲渡され、その後1943年に戦時買収により再び国に戻されましたが、1949年には廃車にされました。さらに1938年には2802号が三井鉱山に売却され、19号に改称されましたが、こちらも間もなく廃車になりました。

残存した機体の一部は新見や建設局に転用され、生涯を終えるまで様々な役割を果たしました。

参考文献

この内容は、以下の文献によって確認されています：

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1956年
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年
• - 金田茂裕「形式別 日本の蒸気機関車II」
• - 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編I」

2800形蒸気機関車は、当時の日本における鉄道の発展を支えてきた重要な遺産の一つであり、その歴史を振り返ることで、当時の技術や運用の実態を知ることができます。

もう一度検索