国鉄60形蒸気機関車

60形蒸気機関車の概要

60形はかつて日本国有鉄道の前身である鉄道院に所属していたタンク式の蒸気機関車です。この機関車は1889年から1901年までの間に、讃岐鉄道によってプロイセン王国から輸入された7両の機関車から構成されています。1904年には山陽鉄道への譲渡を経て、1906年に国有鉄道として編入されました。

機関車の設計と発注

本形式は、讃岐鉄道が開業のために発注したタンク機関車であり、車軸配置は0-4-0(B)の2気筒単式、飽和式となります。讃岐鉄道での呼称はA1形でした。本機関車は3回にわたり発注され、具体的な発注は以下の通りです。

• - 1889年（明治22年） - 3両（製造番号483, 484, 490）
• - 1894年（明治27年） - 1両（製造番号765）
• - 1901年（明治34年） - 3両（製造番号1480 - 1482）

発注時期によって細部に差異があり、煙突のキャップ形状や安全弁の取り付け方法などに違いがありました。

この形式は、同時期に九州鉄道が注文した機関車に似た特徴を持ちながら、サイドタンクのみを備えた設計でした。サイドタンクはシリンダの後部から運転室にかけて広がるもので、全体的に背の高い印象を与えます。製造に関しては、ドイツにおいてこのサイズの機関車は主に工場内や駅構内での入換用に使われることが多く、讃岐鉄道のような地方鉄道が一度に3両注文したことは驚きでした。

国有化と運用

1904年に山陽鉄道へ譲渡された後、同社の形式29に改称され、国有化により1909年に60形へと再編成されました。国有化に際しては本州に移され、のちに神戸機関庫などで使用されました。1923年3月時点の配置状況は、特に工場での管理が行き届いており、整備も行われていました。

使用成績は非常に良好で、長期にわたって運用されました。特に62号と65号は戦後まで残り活躍し、廃車はそれぞれ1948年と1950年となりました。65号はしばらく保管されていましたが、最終的には解体されました。

譲渡先の情報

60形は、後に2社に譲渡されています。まず、1927年には新京阪鉄道に2両（60号、61号）が払い下げられました。これらは新京阪線の建設工事や土砂運搬、夜間の保線作業に活用され、最終的には1938年に廃車解体されています。

次に、1928年には八幡製鉄所に3両（63号、64号、66号）が払い下げられ、221号から223号に改名されました。これらの機関車も大規模な改造を受けることとなりますが、1963年および1964年に廃車処分となりました。

機関車の主要諸元

以下は60形の主要な諸元です。 - 全長: 6,699mm
- 全高: 3,299mm
- 全幅: 2,264mm
- 軌間: 1,067mm
- 車軸配置: 0-4-0(B)
- 動輪直径: 1,190mm
- シリンダー: 300mm×500mm
- ボイラー圧力: 9.8kg/cm²

このように、60形蒸気機関車は日本の鉄道発展に寄与した重要な資産であり、多くの歴史的なエピソードを残しています。

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