国鉄8350形蒸気機関車

8350形蒸気機関車の詳細

8350形は、かつて日本の鉄道において重要な役割を果たしたテンダ式蒸気機関車であり、1894年に製造が始まりました。これは、山陽鉄道がアメリカのボールドウィン社から譲り受けた4両の車両が起源です。これらの機関車は、2-6-0の車軸配置を持つ2気筒の単式飽和式機関車で、当初は山陽鉄道の形式番号として7形に分類され、製造番号14126から14129が割り振られました。

形態と特徴

8350形の形は、アメリカの古典形デザインの典型を示しており、ボイラーはストレートトップ型です。蒸気ドームや砂箱が適切な位置に配置され、煙室の側面には支柱が設けられています。また、炭水車は3軸で、片ボギー式の設計が特徴的です。先に製造された8450形との共通点も見られ、これにより当時の技術が一貫していたことが伺えます。

国有化と運行

1906年に山陽鉄道が国有化されたことにより、8350形も国有鉄道に編入されました。1909年には、鉄道院の規定に基づいて8350形として形式が改称され、8350から8353までの番号が付けられました。その後、この形式は日本国内の各地で活躍しました。

主に使用された地域は、山陽線の東部及び関西線の東部、そして山陰線を含む広範囲です。特に大正中期以降は、山陽線中部や関西線での貨物列車の牽引に寄与しました。8350形全体の廃車は、1922年に行われ、8350番が最初に廃車され、その後同年12月に他の車両も廃車されました。いずれも保存されたものは存在しません。

主要諸元

8350形蒸気機関車は、さまざまな主要諸元を持っています。

• - 全長: 14,859mm
• - 全高: 3,658mm
• - 全幅: 2,371mm
• - 軌間: 1,067mm
• - 動輪直径: 1,372mm
• - ボイラー圧力: 11.2kg/cm²
• - 燃料積載量: 2.54t
• - シリンダ引張力: 6,400kg

ボイラーの総伝熱面積は93.4m²で、煙管蒸発伝熱面積は84.3m²、火室蒸発伝熱面積は9.1m²となっています。また、機関車の整備重量は39.35t、空車重量は35.21tです。このように、8350形はその性能と設計により、蒸気機関車の中でも特に評価が高い存在でした。

参考文献

この情報は、さまざまな文献に基づいています。特に、臼井茂信による「国鉄蒸気機関車小史」や金田茂裕の書籍が詳しい記述を提供しています。これらの資料は、8350形の歴史や性能に関する貴重な情報源です。

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