国鉄8500形蒸気機関車

8500形テンダ式蒸気機関車の概要

8500形は、かつて日本の鉄道史において重要な役割を果たした、テンダ式の蒸気機関車です。この車両は、1905年に山陽鉄道によって製造され、その後日本国有鉄道の一部となりました。

製造と設計

初めて製造されたのは山陽鉄道の自社工場で、当初は27形として番号121および122が付けられました。この機関車は車軸配置2-6-0（1C）を持ち、ヴォークレイン4気筒の複式飽和式テンダ機関車です。1906年に山陽鉄道が国有化された際には、しばらくの間は旧形式番号で運行されていました。

1909年に鉄道院が新たに設定した車両形式称号により、8500形に改められました。基本設計は1893年にボールドウィンが製造した5形に基づいており、寸法は翌年に造られた28形と共通していました。これは後に開発された鉄道省のC12形やC56形と同系列の設計となります。

機関車の性能

8500形の機関車にはいくつかの重要な性能特徴があります。先従台車はビッセル式であり、炭水車は25形後期形と同じ設計を採用しています。これにより、運行時の安定性や効率が増しています。主に山陽線の西部に位置する勾配区間で使用され、配置は下関や柳井津に置かれていました。

主要諸元

8500形の全長は14,545mm、全高は3,734mm、全幅は2,540mm、軌間は1,067mmです。動輪の直径は1,372mmで、弁装置はスチーブンソン式のアメリカ型が使用されています。シリンダーの直径は292mmおよび483mmで、行程は559mmです。ボイラー圧力は12.7kg/cm²、火格子面積は1.58m²に達し、全伝熱面積は89.6m²、煙管蒸発伝熱面積は80.5m²です。

さらに、機関車の運転整備重量は41.31t、空車重量が37.46t、動輪上の重量は35.50tです。炭水車の運転整備重量は23.15t、空車では11.46tでした。水タンク容量は4.50m³、燃料積載量は2.57tとなっています。

歴史的背景と廃車

8500形は、長い運行歴を持ちながら、1923年1月には廃車され、解体されました。この機関車の存在は、日本における鉄道の発展過程やその技術進歩を示す貴重な事例とされており、多くの鉄道ファンによって今でもその存在が語り継がれています。

参考文献

• - 臼井茂信「国鉄蒸気機関車小史」1958年、鉄道図書刊行会
• - 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
• - 臼井茂信「機関車の系譜図 3」1972年、交友社
• - 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 III」1978年、エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン
• - 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」1981年、エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン

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