国鉄990形コンテナ

国鉄990形コンテナの紹介

国鉄990形コンテナは、1966年度に運輸省によって製造された規格冷蔵コンテナである。これらのコンテナは、鉄道輸送において特に冷蔵品を安全に運ぶために設計された。このコンテナの特異な点は、日本国有鉄道（国鉄）によってではなく、運輸省が直接製作したことである。このため、コンテナには「国鉄」という表記がなく、他のコンテナとは異なる印象を与えている。

製造の背景と冷却システム

990形コンテナは、富士重工業において2つ（990号と991号）が製造された。このコンテナはドライアイスを使用した間接冷却方式を採用し、クレーン荷役に対応した設計となっている。具体的には、室内の四隅にドライアイス槽が設けられ、そこから発生した炭酸ガスが熱交換機パイプを通じて冷却に利用される。この方式は、直接冷却方式では輸送中の貨物が損傷を受ける危険があることを考慮し、より安全な仕様となっている。

ドライアイスの積み込みは通常、室内から行われるが、991コンテナは特別に改造され、屋根上に設けられた扉からの積み込みも可能である。このような改良を施すことで、運搬の効率を向上させている。

外観と寸法

990形コンテナの外観は白色の塗装が施されており、片側の妻面にのみ扉が存在するシンプルなデザインが目を引く。コンテナの寸法は、全長が3,307.2 mm、全幅が2,373.8 mm、全高が2,350.2 mmであり、最大積載可能重量は5トン、自重は1.5トンとなっている。また、容積は11.1 m³で、冷蔵用途に特化した設計が反映されている。

この990形コンテナは、日本の鉄道における冷却コンテナの先駆けであり、その特徴的な設計や製造背景は、鉄道輸送の技術的発展の一端を担っていたといえる。特に、ドライアイスを用いたアルゴリズム的な冷却手法は、同時期に他の鉄道貨物輸送にも多大な影響を与えた。

参考文献

この情報の詳細は、以下の文献でさらに深く学ぶことができる。まず、貨車技術発達史編纂委員会が編著した『日本の貨車 技術発達史 明治5（1872）年〜平成16（2004）年』や、吉岡心平著の『国鉄コンテナのすべて』などが挙げられる。これらの資料は、日本の鉄道車両の技術的進化を理解する上で貴重な情報源である。

もう一度検索