国鉄DF93形ディーゼル機関車

DF93形ディーゼル機関車

概要

DF93形は、かつて日本国有鉄道（国鉄）によって試用された液体式ディーゼル機関車で、その設計と製造は1960年に始まりました。この機関車は、主に旅客列車や貨物列車の牽引に活用され、試験運用の中で重要な役割を果たしました。

製造の背景

1960年代当時、国鉄はディーゼル機関車の開発に取り組んでいました。この流れの中で、日本国内の車両メーカーたちは独自の機関車を試作し、国鉄に提案することで市場を広げようとしていました。その結果、合計9形式の試作機関車が国鉄において試用され、40番台および90番台の形式が与えられました。これらの中で、日立製作所が製造したのがDF93形です。

機構と特徴

DF93形のエンジンは、日立製作所が製造した、当時の西ドイツのMAN社のエンジンをライセンス製作したL12V18/21mA型（出力1,100馬力）ディーゼル機関です。この機関は液体式の動力伝達方式を採用しており、通常の機関車とは異なる特長があります。

車両の液体変速機は、日立製のLAZ10R型が搭載されており、これは車体中央部に配置されています。この変速機は、その後に続く動力伝達を支えています。具体的には、変速機から前後に伸びる推進軸があり、これが各動輪を駆動しています。DF93形はC-Cの軸配置を持ち、心皿のない台車がリンクによって力を伝達しています。

外観に関しては、箱形の車体デザインを採用しており、前面は2枚窓の形状をしていて、上部が傾斜しています。このデザインは、EF58やDD50形ディーゼル機関車に似ています。また、塗装は上半分がクリーム色、下半分が緑色、スカート部が赤色と、派手で視認性の高いものでした。側面には白色で「HITACHI」の文字が描かれ、ブランドを強調しています。

運用

DF93形は、1962年の6月から常磐線で試用を開始しました。その後、千葉気動車区に配置され、主に房総エリアでの旅客列車や貨物列車に用いられました。特に、同年の「房総夏ダイヤ」では臨時快速「しらすな」を牽引し、両国駅と浜金谷駅間で運行されました。貨物運用では、両国駅から千葉駅間の牽引および構内入換作業に使われ、重要な役割を果たしましたが、1964年の3月にはその運用が終了しました。

主要諸元

• - 全長: 15.5m
• - 運転整備重量: 70.0t
• - 機関: 日立・MAN製L12V18/21ma形ディーゼル機関1基
• - 液体変速機: 日立製LAZ10R
• - 出力: 1,100PS/1500rpm
• - 動力伝達方式: 液体式
• - 最大運転速度: 78.7km/h

結論

DF93形ディーゼル機関車は、日本国有鉄道における技術革新の一端を担う重要な機体でした。その実績と設計は、後のディーゼル機関車の開発に影響を与えたと考えられます。

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