国鉄ED57形電気機関車

ED57形電気機関車：国鉄最後の輸入機

ED57形は、日本国有鉄道（国鉄）の前身である鉄道省が、1920年代にドイツから輸入した直流用電気機関車です。この機関車は、国鉄にとって最後の輸入電気機関車となりました。

概要

1927年（昭和2年）、ドイツのシーメンスシュケルト社（電気部分）とボルジッヒ社（機械部分）によって2両が製造され、1928年（昭和3年）に日本に輸入されました。当初は旅客列車牽引用として使用されました。

特徴的な外観として、箱形の車体と、運転台部分の側板が端部に向かって絞られている点が挙げられます。また、前後にデッキを備え、車体中央部の屋根は一段高くなっています。屋根上には大型のパンタグラフが前後に設置されています。前面の運転室窓が高い位置にあることや、運転台のマスターコントローラーが円形のハンドル形であることも、この機関車の特徴です。

国鉄の電気機関車の中で唯一のシーメンス製であり、同社の電気機関車は他に上信電鉄や名古屋鉄道などにも存在しますが、それらは小型の凸型機で、機械部分の製造もM.A.N社が担当していました。機械部分をボルジッヒ社が製造したED57形は、非常に希少な存在でした。

運用と改造

導入当初、ED57形は東海道本線に配置されましたが、中央本線の電化後は八王子機関区に移動し、飯田町-八王子間で運用されました。1944年（昭和19年）3月には、大宮工場（現在の大宮総合車両センター）で歯車比改造を受け、貨物列車牽引用のED24形に改造されました。しかし、改造後も同じ区間で運用され続け、1960年（昭和35年）2月に全車が廃車となりました。

現在、ED57形は2両とも解体されており、現存する車両はありません。

主要諸元

全長: 13140mm
全幅: 2770mm
全高: 4010mm
重量: 60.90t
電気方式: 直流1500V
軸配置: B+B
主電動機: MT24形（端子電圧675V時定格出力235kW）×4基
歯車比（動輪）： 21:76＝1:3.62（ED24形は19:88＝1:4.63）
1時間定格出力: 940kW
1時間定格引張力: 7100kg （ED24形は9830kg）
1時間定格速度: 41km/h
最高運転速度: 85km/h
動力伝達方式: 歯車1段減速、吊り掛け式
制御方式: 非重連、抵抗制御、2段組み合わせ制御、弱め界磁制御
制御装置: 複式電磁空気単位スイッチ式
ブレーキ方式: EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ


ED57形は、その独特な外観と、国鉄における最後の輸入電気機関車という歴史的背景から、鉄道ファンに語り継がれる存在です。

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