国鉄M90形コンテナ

国鉄M90形コンテナ

国鉄M90形コンテナは、日本国有鉄道（国鉄）が1970年に製造した鉄道用の無蓋コンテナです。このコンテナは、主に重量物や特異な形状の荷物を効率的に運ぶために設計されました。1970年代当時、国鉄は複雑な荷役作業を簡素化するための新しいコンテナの開発に着手しました。

概要と目的

国鉄では、従来のコンテナの屋根部分が開閉しにくいという問題を抱えていました。大量に運搬される特殊な形状の品物や重量物の荷役作業が困難なため、さらなる改善が求められていました。このニーズに応じて、国鉄は新たに天井のないコンテナの開発を決定しました。

1970年度に、川崎重工業で製造されたこの試作のコンテナは、形式名「M90形」として登録されました。M90形コンテナは、片妻面の一方が開く構造を持ち、天井板に代わってポリプロピレン製のホロを使用しています。ホロは取り外しできるため、柔軟な仕様変更が可能でした。コンテナ本体には、四方に24本のゴムベルトでホロが固定されています。

寸法と仕様

M90形コンテナの具体的な寸法は、全長が3,658 mm、全幅が2,438 mm、全高が2,350 mmと設定されています。最大積載量は5トン、自重は1.4トンで、容積は16.4立方メートルを誇ります。これらの特性は、特に重量物の搬送に適しています。

量産計画と廃止

M90形コンテナが製造された後、国鉄は「汎用5トン積みコンテナは今後も用意するが、無蓋コンテナを含む特殊な構造のコンテナに関しては、民間資本を導入した私有コンテナに移行する」との方針を発表しました。これにより、M90形は量産に至らず、1984年度には形式が廃止され、消滅しました。

国鉄がM90形の後に設けた5トン積みの無蓋私有コンテナ（UM1形）は、M90形の登場した翌年の1971年から正式に登録されました。その後、全国各地で様々な形状や構造を持つコンテナが次々と開発され、運搬業界は大きく変貌を遂げることとなります。

現代のコンテナとその発展

さらに、JR貨物への移行後、さまざまなコンテナ形式が登場し、それぞれが異なる輸送ニーズに応えるために設計されています。特に、産業廃棄物や災害ごみの輸送といった新たなニーズに対応する形で、コンテナとしての機能や役割は多岐にわたります。M90形コンテナから続く技術革新は、現在の複雑な物流体系の形成に大きく寄与しています。

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