国鉄R94形コンテナ

国鉄R94形コンテナについて

国鉄R94形コンテナ（こくてつR94がたコンテナ）は、日本国有鉄道（国鉄）が1972年に製造した冷蔵専用の鉄道輸送用コンテナです。これは、鉄道輸送の利便性を向上させるために開発された重要な輸送装置の一つとなっています。R94形コンテナは、二種規格（12 ft）に分類され、その設計は冷蔵貨車よりも劣る保冷性能を改善する目的から生まれました。

1. 製造の背景

日本国有鉄道では、これまでに4種類の正式コンテナ（R10形からR13形）が製造されていましたが、それらは冷蔵貨車に比べ保冷性能が不十分でした。そこで、より高性能な冷蔵コンテナの必要性が高まり、レム5000形と同等のスペックを持つコンテナの試作が開始されました。1972年度には、富士重工業においてクレーン荷役対応の冷蔵コンテナが一つ製作され、これがR94形と名付けられました。

2. コンテナの設計と特徴

R94形コンテナは片側妻面1方開きの構造を特徴としており、本体は内外の二重構造で、断熱材にはポリウレタンフォームが使用されています。この構造により、冷蔵効果が向上し、食品などの輸送において安全性を確保することが可能となりました。また、妻面には開閉式の通風口が設けられており、必要に応じた換気が行えるようになっています。これらの工夫が冷蔵機能を支えていました。

コンテナの塗装は白色で、保冷性の高さを視覚的に表現するために青色帯（青15号）が施されています。これにより、冷蔵輸送の重要性が一目でわかるデザインが実現しました。寸法は、全長3,658 mm、全幅2,438 mm、全高2,350 mmで、最大荷重は5 t、自重は1.6 t、容積は14.1 m3という設計になっています。このサイズは、冷蔵物の効率的な輸送を可能にするものでした。

3. 技術の進展とその影響

R94形コンテナは量産化されることなく、その技術は主に私有コンテナに引き継がれました。このことは、国鉄のコンテナ輸送における技術的な革新を示すものであり、将来的な冷蔵コンテナ技術の発展にもつながったと考えられます。このような技術の進展は、冷蔵物資を効率的に輸送するための新たな基盤を提供し、鉄道輸送の利便性を大いに向上させました。

4. 廃止とその後

1985年度にはR94形コンテナは廃止され、形式消滅となりましたが、その技術的な貢献は影響を与え続けています。鉄道輸送業界での冷蔵コンテナの重要性は色あせることなく、多くの輸送手段において不可欠な要素として存在しています。

参考文献

• - 郡発刊の「日本の貨車 技術発達史」
• - 吉岡心平著「国鉄コンテナのすべて」の資料からも得られるコンテナについての重要な情報が多く含まれています。

このように、国鉄R94形コンテナは、冷蔵輸送における革新を促進し、後のコンテナデザインや機能に多大な影響を与えた歴史的な装置と言えるでしょう。

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