国鉄T16形コンテナ

国鉄T16形コンテナについて

国鉄T16形コンテナは、日本国有鉄道によって1968年に製造が始まった、輸送用の12フィートタンクコンテナです。このコンテナは特に鉱物油の輸送に適しており、その設計や構造は当時の技術を反映しています。

製造の背景と特徴

1970年代初頭、日本の鉄道輸送において効率的かつ安全な運搬が求められていました。国鉄はそのニーズに応える形で、1970年に富士重工業に依頼し、T16形コンテナを製造しました。初めて製造された5両のコンテナは、鉱物油専用としてクレーン取り扱いが可能な設計でした。これにより、労力を削減しつつ、迅速な荷役が実現されています。

また、T16形コンテナはタンク部分が厚さ3.2mmの普通鋼製で、断熱性能を高めるために厚さ80mmのグラスウール断熱材が施されています。この断熱材は、内部に搭載される液体の温度を保持し、物質の性質を維持するために重要な役割を果たしています。タンクの内部には蒸気加熱のためのステンレス鋼製の加熱管も取り付けられており、液体が冷えすぎることを防ぐ工夫がなされています。

荷役方法と仕様

T16形コンテナの荷役は、上部に配置されたマンホールから液体を充填し、下部の液出弁を利用して排出します。この設計により、スペースの制約がある鉄道車両でも効率的な荷扱いが可能です。

このコンテナの寸法は全長3,240mm、全幅2,300mm、全高2,350mmと設計されており、最大荷重は5トン、自重は1.5トン、容積は5.1立方メートルとされています。こうしたサイズと重量のバランスは、貨物輸送において高い効率を引き出すために最適化されています。

廃止とその後

国鉄T16形コンテナは、1985年に最後の5両が使用を終えて廃止され、形式が消滅しました。このコンテナの運用の終焉は、製造から約17年に及ぶ運用期間を有していました。日本の貨物輸送における重要な役割を果たしたT16形コンテナは、鉄道コンテナ技術の進化に寄与した意味でも意義深い存在でした。

参考文献

記事の内容は以下の文献を参考にしております。

• - 『日本の貨車 技術発達史 明治5（1872）年〜平成16（2004年）』社団法人日本鉄道車輌工業会、2008年。
• - 吉岡心平著『国鉄コンテナのすべて』ネコ・パブリッシング、2009年。

このように、国鉄T16形コンテナは鉱物油輸送のために設計されたタンクコンテナとして重要な役割を果たし、今なお日本の鉄道貨物輸送の歴史の一部として語り継がれています。

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