国鉄T19形コンテナ

国鉄T19形コンテナ

国鉄T19形コンテナは、日本の国有鉄道（国鉄）が1968年度に製造したタンクコンテナの一つで、主に鉱物油の運搬に特化した設計が施されています。このコンテナは、当時の鉄道輸送のニーズに応えるために開発され、特にクレーンによる取り扱いが可能な仕様で作られています。

概要

国鉄T19形コンテナは、富士重工業で製造され、4両が投入されました。タンクの本体は厚さ3.2mmの普通鋼製で、優れた断熱性能を確保するために厚さ60mmのグラスウール断熱材が施されています。その上にキセ（外板）が取り付けられています。コンテナ内部には4往復の蒸気加熱管が内蔵され、温度管理が必要な荷物に対応できるようになっています。

荷役方式については、液体をタンク上部の液入口から上入れし、鏡板の下部にある液出弁を介して下出しするシステムが採用されています。これにより、取り扱いが容易で、効率的な荷役が可能となっています。

性能とサイズ

国鉄T19形コンテナのサイズは、全長が3,240mm、全幅が2,300mm、全高が2,350mmとなっており、プロポーションは非常にバランスが取れています。最大荷重は5トン、自重は1.4トン、容積は4.2m³で、そのサイズ感からも運搬に適したデザインが確認できます。

このコンテナは1980年度まで運用されていましたが、最終的には2両が廃止され形式消滅する運命を辿りました。歴史的には短命でしたが、その機能美と効率性は当時の鉄道輸送の進化を表しています。

参考文献

国鉄T19形コンテナについて詳しくは、貨車技術発達史編纂委員会編の『日本の貨車 技術発達史 明治5（1872）年〜平成16（2004）年』や、吉岡心平の『国鉄コンテナのすべて』などを参照してください。

この形式のコンテナは、現在JR貨物が運営しているコンテナ形式の一つとしても語り継がれており、その影響力は現代の鉄道コンテナにも色濃く残っています。

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