国鉄T32形コンテナ

国鉄T32形コンテナについて

国鉄T32形コンテナは、日本国有鉄道が1967年度に製造した鉄道用のタンクコンテナです。このコンテナは、主に鉱物油を輸送するために設計されており、その特異な仕様と構造は、当時の技術の進歩を反映しています。

製造の背景と経緯

1967年に、国鉄は最初の6個のT32形コンテナを東急車輛製造によって製作しました。これは非クレーン取り扱い方式のタンクコンテナとしての役割を担っていました。さらに、1968年に2個、1970年に2個の追加製作が行われ、合計で10個のコンテナが国鉄の運用に供されることとなりました。このように、一貫した品質と性能を維持するための努力が積み重ねられています。

構造と仕様

T32形コンテナのタンク本体は、厚さ3.2 mmの普通鋼で製造されており、内部では亜鉛メタリコン処理が施されています。これは、輸送中に荷物の純度を維持するために重要な処置です。荷役方法としては、マンホールの蓋から液体を上から注入し、底部に設置された弁を介して液体を排出する構造になっています。

このコンテナの寸法は以下の通りです：全長3,240 mm、全幅2,300 mm、全高1,776.8 mm、最大荷重は5 t、自重は1.4 t、容積は5.1 m³となっています。これらのサイズと特性は、効率的な輸送と操作性を考慮して設計されています。

運用の歴史を辿る

1987年の国鉄分割・民営化に際して、T32形コンテナは7個が日本貨物鉄道（JR貨物）に引き継がれ、その後も一定の期間、運用が続けられました。しかし、1994年にはこの形式は消滅し、歴史の中に姿を消すこととなりました。

このコンテナの存在は、日本の鉄道輸送史に欠かせない要素であり、当時の技術や効率、構造における工夫が詰まっています。国鉄時代におけるコンテナの発展を考える上で、T32形コンテナの存在はその技術的背景を理解するための重要な手がかりとなります。

参考文献と出典

国鉄T32形コンテナに関心を持たれた方は、以下の文献を参照されることをお勧めします。

• - 『日本の貨車 技術発達史 明治5（1872）年〜平成16（2004）年』
• - 吉岡心平著『国鉄コンテナのすべて』

これらは鉄道輸送の歴史や技術についてより深く知るための貴重な資料です。

国鉄T32形コンテナは、今や歴史の一部となりつつありますが、その技術的な偉業や運用の実績は、未来の鉄道輸送技術に影響を与え続けるでしょう。

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