国鉄V10形コンテナ

国鉄V10形コンテナの詳細

国鉄V10形コンテナは、1960年（昭和35年）に日本国有鉄道（国鉄）によって初めて製造された通風コンテナです。このコンテナの開発は、日本の鉄道輸送における新たな一歩を意味し、当時の貨物輸送の効率化を図るために重要な役割を果たしました。

製造と設計

このコンテナは、東急車輛製造と富士重工業の2社にて製造され、合計5両が完成しました。製造されたのは、最初の3両（200 - 202）と最後の2両（203,204）であり、製造時には試作品としての側面が強く、新しい技術や設計が適用されていました。最初の形式名は200形式でしたが、1966年6月に行われた称号改正に伴い、V10形に名称が変更されました。

外観と配置

国鉄V10形コンテナの特徴的な外観は、当初は淡緑3号の塗色でしたが、その後の環境や使用による退色や汚れの影響を受け、1964年以降は黄緑6号（山手線色）に転換されました。コンテナの扉は片側の妻面に1か所のみ設けられており、クレーンによる荷役には対応していない設計となっています。

通風機能のために、車体の4面には縦50mm、横120mmの通風孔が合計328個配置されています。これらの通風口はシャッター機構を備えており、必要に応じて開閉することが可能です。したがって、国鉄V10形コンテナは有蓋コンテナとしても機能する仕様です。

寸法と性能

このコンテナの寸法は以下の通りです：全長3,238 mm、全幅2,342 mm、全高2,359.2 mm。最大荷重は5t、自重は1.2tであり、容積は13.5 m³というサイズ感を持っています。これにより、さまざまな貨物を効率的に運ぶことができるようになりました。

存在の終焉

国鉄V10形コンテナは長い間にわたり使用されましたが、1979年（昭和54年）度に最後まで稼働していた1両が廃止され、この形式は消滅しました。国鉄V10形コンテナの導入は、日本の鉄道輸送における重要な革新であり、今でもその意義は語り継がれています。

参考文献

このコンテナに関する詳細な情報源として、以下の文献が挙げられます。

• - 貨車技術発達史編纂委員会（編著）『日本の貨車 技術発達史 明治5（1872）年〜平成16（2004）年』社団法人日本鉄道車輌工業会、2008年。
• - 吉岡心平『国鉄コンテナのすべて』上、ネコ・パブリッシング〈RM LIBRARY 121〉、2009年。

国鉄V10形コンテナは、貨物輸送において必要とされる通風機構を持つ日本初のコンテナとして、時代を超えて記憶される存在です。

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