国際がん研究機関

国際がん研究機関 (IARC) の概要

国際がん研究機関（IARC）は、世界保健機関（WHO）の関連機関として、がんに関する研究を専門に行う組織です。1965年に設立され、フランスのリヨンに本部を置いています。その目的は、がんの発生メカニズムの解明や原因の特定を通じて、発がん頻度を抑制することにあります。

目的と活動内容

IARCは、様々な化学物質や放射線、ウイルスの発がん性を評価し、その結果を公表しています。これにより、リスクをもたらす要因を科学的に特定し、社会における対策の策定を支援します。また、ヒトの各臓器に発生する腫瘍の組織学的分類を行った「WHO分類シリーズ」（通称“Blue Books”）を出版しており、現在はその第4版が編纂中です。これらの活動は、がんに対する認識を深め、健康問題としてのがんに対する予防策を強化することを目指しています。

歴史的背景

IARCは1965年に設立され、その設立はWHOの総会で決議されました。当初は感染症とは異なる健康問題として、先進国におけるがんの影響を軽減することを目指していました。設立当初、フランスが主導し、ドイツやイタリア、英国、アメリカなどが参加して、WHOとは独立した予算で運営が行われました。その後も多国籍での参加が進み、さまざまな国がIARCの活動に貢献しています。

発がん性評価

IARCの発がん性評価は、特定の物質に対する発がん性の科学的証拠を基に行われます。重要なポイントは、IARCの評価が発がんの強さを示すものではなく、発がん性のハザードを確認することにあります。評価に際しては、以下の三つの要素が考慮されます：
1. 人間における発がん性データ（疫学調査など）
2. 実験動物での発がん性に関する試験結果
3. その他の関連情報

これらの情報をもとに、発がんリスクの総合評価が行われ、次の5つのグループに分類されます：

• - グループ1：発がん性があると結論づけられた物質
• - グループ2A：恐らく発がん性があるとされる物質
• - グループ2B：発がん性の恐れがある物質
• - グループ3：発がん性を分類できない物質

これまで存在していたグループ4（恐らく発がん性はない）は、2019年に廃止されました。

関連人物

IARCに在籍していた著名な研究者たちには、東京大学名誉教授の黒木登志夫氏、関西学院大学名誉教授の山崎洋氏、静岡県立大学食品栄養科学部学部長の大島寛史氏がいます。これらの専門家たちが、IARCの発がん研究に貢献してきました。

まとめ

IARCの研究は、がんのリスクを科学的に理解し、より良い健康政策を確立するための重要な基盤となっています。今後も、がんに対する予防策の強化と、より安全な生活環境の実現を目指した活動が期待されます。

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